23年9月の牛肉生産量、前年同月比10.1%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年9月の牛と畜頭数は256万頭(前年同月比9.9%減)とかなりの程度減少した。この結果、同月の牛肉生産量は97万5000トン(同10.1%減)とかなりの程度減少した(図1)。
また、23年1〜9月累計のと畜頭数は2423万頭(前年同期比4.3%減)とやや減少し、中でも肉用経産牛が同13.1%減とかなり大きく減少した。現地報道によると、干ばつが改善した米国西部や南部の一部地域で、牛群再構築に向けた繁殖農家の自家保留が要因とされている。
23年9月の肥育牛価格、前年同月比29.4%高
USDA/NASSによると、2023年9月のフィードロット導入頭数は220万6000頭(前年同月比6.1%増)とやや増加し、出荷頭数は166万3000頭(同10.6%減)とかなりの程度減少した。この結果、23年10月1日時点のフィードロット飼養頭数は1158万頭(同0.6%増)とわずかに増加した。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年9月の肥育牛価格は100ポンド当たり183.25米ドル(1キログラム当たり608円:1米ドル=150.51円(注)、同29.4%高)となり、6月以降はほぼ横ばいながらも、依然として高水準で推移している(図2)。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年10月末TTS相場。
23年8月の牛肉輸出量、アジア上位3カ国が大幅減
USDA/ERSによると、23年8月の牛肉輸出量は11万7687トン(前年同月比19.8%減)と大幅に減少し、23年1〜8月累計では94万4905トン(前年同期比13.8%減)とかなり大きく減少した(表)。8月の輸出量を主要輸出先別に見ると、首位の日本向けは2万5352トン(前年同月比20.1%減)、続く韓国向けは2万3760トン(同22.7%減)、中国向けは1万9563トン(同38.0%減)といずれも大幅に減少した。一方、メキシコ向けは堅調な需要を背景に1万3339トン(同17.4%増)と大幅に増加した。23年の牛肉輸出量についてUSDAは、国内生産量の減少や高値による需要の減退、米国産牛肉の価格競争力の低下などを背景に予測を下方修正し、前年比14.4%減の137万6200トンと見込んでいる。
(調査情報部 伊藤 瑞基)