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海外需給【牛肉/カナダ】畜産の情報 2023年12月号

牛飼養頭数の減少から、23年の牛肉生産量は前年比3.6%減見込み

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23年7月の牛総飼養頭数、前年比1.5%減
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2023年7月1日時点の牛総飼養頭数は1215万5000頭(前年同月比1.5%減)と昨年に続きわずかに減少した(表1)。内訳を見ると、繁殖雌牛は462万5000頭(同1.3%減)となり、そのうち肉用繁殖雌牛については365万5000頭(同1.5%減)と過去最低水準まで減少している。減少の要因について米国農務省(USDA)は、昨年からのカナダ西部を中心とした干ばつの影響による飼料不足に加え、肥育牛価格の高騰を背景とした経産牛の淘汰とうたが進んだことなどを挙げている。その結果、子牛の出生頭数の減少などから、24年にかけてさらなる牛群縮小を見込んでいる。
 23年の牛肉生産量についてUSDAは、飼養頭数が減少傾向にあることを要因に、134万5000トン(同3.6%減)と前年をやや下回ると見込んでいる。

 
肥育牛価格は高水準で推移
 CanFax(注1)によると、カナダ(アルバータ州)の肥育牛価格は昨年以降、堅調な需要と肥育牛供給のひっ迫、また、飼料価格高などを背景に、2023年6月まで上昇傾向で推移していた(図)。本年8月の肥育牛価格は100ポンド当たり233.40カナダドル(1キログラム当たり564円:1カナダドル=109.64円(注2)、前年同月比30.6%高)とピーク時からはやや下落基調にあるものの、依然として高水準で推移している。
 
(注1)カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の畜産物市況分析部門。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年10月末TTS相場。

 
23年1〜8月の牛肉輸出量、前年同期比3.9%減
 カナダ統計局によると、2023年8月の牛肉輸出量は3万4893トン(前年同月比2.5%減)となり、同年1〜8月の累計では27万201トン(前年同期比3.9%減)とやや減少した(表2)。同期累計を輸出先別で見ると、首位の米国向けは同国内の牛肉生産量が減少する中で、堅調な需要から21万7538トン(同2.1%増)とわずかに増加した。第3位のメキシコ向けも旺盛な需要から1万5715トン(同45.9%増)と大幅に増加した。一方、第2位の日本向けはドル高の為替相場や需要減退などから1万7710トン(同45.3%減)、第4位の韓国向けは8802トン(同22.8%減)といずれも大幅に減少した。中国向け(香港を除く)については、一昨年にカナダの肥育牛農場で非定型の牛海綿状脳症(BSE)に感染した肉牛が検出されたことから、カナダ産牛肉の輸入停止が続いている。
 23年の牛肉輸出量についてUSDAは、米国向けの需要が堅調であることなどから、58万500トン(前年比0.3%増)と前年並みで推移すると見込んでいる。

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)