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海外需給【豚肉/米国】畜産の情報 2023年12月号

豚肉卸売価格は需給緩和により前年同月を下回る

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繁殖豚飼養頭数、前年同月比1.2%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年9月1日時点の豚飼養頭数は、7431万9000頭(前年同月比0.3%増)と前年並みで推移した(表1)。内訳を見ると、繁殖豚は607万9000頭(同1.2%減)と減少し、肥育豚は6824万1000頭(同0.4%増)と増加した。また、6〜8月期の分娩母豚頭数は減少したものの、1腹当たり産子数の増加により産子数は前年同期比0.4%増となった。USDAによると、生産費の高騰や肥育豚価格の下落による生産者の増頭意欲低下から分娩母豚頭数が減少した一方、バイオセキュリティの向上により母豚の疾病感染頭数が減少したことなどで、1腹当たり産子数の増加につながったとされている。

 
23年9月の肥育豚価格は前年同月比12.1%安
 USDAによると、2023年9月の豚肉生産量は、と畜頭数、1頭当たり枝肉重量ともに前年同月を下回ったことで、99万2000トン(前年同月比3.2%減)とやや減少した。一方、同年9月の豚肉卸売価格は100ポンド当たり98.28米ドル(1キログラム当たり326.11円:1米ドル=150.51円(注)、同4.5%安)と、前年同月をやや下回った(図1)。これは、例年、秋にかけて需要が減少することに加え、加工業者が価格の下振れを見越して在庫を優先的に出荷していることで、豚肉生産量が減少する中でも需給が緩和したとみられる。これに伴い、同月の肥育豚価格は100ポンド当たり62.38米ドル(1キログラム当たり206.99円、同12.1%安)と、前年同月をかなり大きく下回った(図2)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年10月末TTS相場。



 
 23年8月の豚肉輸出量、前年同月比2.6%増
 USDAによると、2023年8月の豚肉輸出量は23万8900トン(前年同月比2.6%増)とわずかに増加し、同年1〜8月の累計では203万3100トン(前年同期比8.1%増)とかなりの程度増加した(表2)。8月の輸出量を輸出先別に見ると、最大のメキシコ向けはバラ肉などの堅調な需要から、前年同月比7.2%増とかなりの程度増加した。また、日本、豪州向けは、競合するEU産豚肉の生産量、輸出量が減少したことにより前年同月を上回った。一方、中国、韓国、コロンビア向けは、米ドル高などにより需要が減少し、前年同月を下回った。

 
(調査情報部 小林 大祐)