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海外需給【牛乳・乳製品/豪州】畜産の情報 2023年12月号

生乳生産量は前年同期をわずかに上回る

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生乳生産量、前年同期比でわずかに増加も引き続き低水準
 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2023年8月の生乳生産量は、前年同月比0.7%増の66万4632キロリットル(68万4571トン相当)となった(図1)。生乳生産量が前年同月比でプラスとなるのは4カ月連続となる。この結果、23/24年度(7〜8月)の累計生乳生産量は、前年同期比0.4%増の123万5662キロリットル(127万2732トン相当)となった。ただし、前々年度(21/22年度)同期との比較では同6.0%減であり、酪農家戸数の減少が続いていることなどの影響を受け、前々年度比では引き続き低水準で推移している。
 23/24年度の生乳生産量について豪州農業資源経済科学局(ABARES)は、23年8月末時点の見通しとして前年度比1%増の820万キロリットル(844万6000トン相当)としている。この要因としてABARESは、(1)豪州の生乳生産量の過半を占めるビクトリア州を含む豪州東部全域では、昨年来の高い土壌水分と今後の乾燥気候により牧草の品質改善が期待されるとともに、湿潤な環境下で発生しやすい乳房炎などの疾病の発生が低減すること(2)23年下半期も飼料価格が下落し続けると予想されており(注)、生乳生産に必要な飼料の確実な確保が見込まれること−を挙げている。
 
(注)『畜産の情報』2023年7月号「豪州における近年の飼料穀物需給動向と見通し」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002811.html)を参照されたい。
 
 
 
主要乳製品輸出量も低水準
 DAが発表した2023年8月の主要乳製品4品目の輸出量は、品目によって大きく異なる動きを見せた(表、図2)。
 脱脂粉乳は、インドネシアやマレーシア向けなどの伸びを受けて大幅に増加したのに対し、全粉乳は、アラブ首長国連邦および中国などのアジア向けの減少を受けて大幅に減少した。バターおよびバターオイルは、韓国をはじめとするアジア向けの減少が響き、大幅に減少した。チーズは、輸出先第1位の日本向けが減少したものの、第2位の中国をはじめとしたアジアでの堅調な需要を受けて前年並みとなった。
 一方で、23年7〜8月の輸出量を見ると、いずれの品目も前年同期比で減少しており、前年度に引き続き低水準となった。




 
(調査情報部 平山 宗幸)