23年9月の生乳生産量、4カ月連続で前年同月比微減
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年9月の生乳生産量は249万7000トン(前年同月比0.4%減)と4カ月連続で前年同月をわずかに下回った(図1)。一方、ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、多雨による牧草の生育不良の影響を補うべく、一部地域ではパーム油かす(注1)など補助飼料の給餌を増やす動きが見られたことで、乳固形分ベースでは21万436トン(同1.3%増)と前年同月をわずかに上回ったとしている。
(注1)搾油後のヤシの実のかす。
23年9月の乳製品輸出量、主要3品目が減少
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年9月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳を除く主要3品目で前年同月を下回った(表、図2)。品目別では、脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けの伸びから、かなりの程度増加した。一方、全粉乳とバターおよびバターオイルは、最大の輸出先である中国向けや主要輸出先のインドネシア向けの減少から前年同月を下回った。チーズは、最大の輸出先である中国向けは前年並みとなったものの、主要輸出先の日本、韓国、マレーシア向けが減少したことなどから大幅に減少した。
23年10月下旬のGDT価格、主要4品目すべて上昇
2023年10月17日開催のGDT(注2)平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催(10月3日)時の価格を上回った(図3)。この結果、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり3202米ドル(48万1933円:1米ドル=150.51円(注3)、前回比3.2%高)と4回連続で上昇した。今回の価格上昇の要因について現地金融機関は、(1)8月までの価格が低水準で推移したことで、中東やEUなどからの引き合いが強まったこと(2)エルニーニョ現象による乾燥予測を受けて、牧草不足の懸念から今後の生乳生産への影響を危惧する声が高まったこと−を挙げている。一方で、乳製品の最大市場である中国の需要は依然として低迷しており、回復には不確実性が残ると伝えている。
(注2)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年10月末TTS相場。
(調査情報部 工藤 理帆)