生産量
令和5年10月の牛肉生産量は、3万423トン(前年同月比5.4%増)と前年同月をやや上回った(図1)。品種別では、和牛は1万4703トン(同9.3%増)とかなりの程度、交雑種は8124トン(同2.6%増)、乳用種は7199トン(同2.0%増)とわずかに、いずれも前年同月を上回った。
なお、過去5カ年の10月の平均生産量との比較でも、5.6%増とやや上回る結果となった。
輸入量
10月の輸入量は、冷蔵品は、国内需要は低迷下にあるものの、生産量の増加から豪州産輸入量が増加することなどから、1万6759トン(前年同月比15.3%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図2)。冷凍品は、国内の輸入品在庫量が多いことなどから、主要国を含むほとんどの輸入先からの輸入量が少なく、2万3530トン(同30.9%減)と前年同月を大幅に下回った(図3)。この結果、全体では4万334トン(同17.0%減)と前年同月を大幅に下回った。
なお、過去5カ年の10月の平均輸入量との比較でも、冷蔵品は20.6%減、冷凍品は24.5%減と、ともに大幅に下回る結果となった。
家計消費量等
10月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は149グラム(前年同月比18.6%減)と前年同月を大幅に下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の10月の平均消費量との比較でも、17.0%減と大幅に下回る結果となった。
10月の外食産業全体の売上高は、天候に恵まれ晴れの日が多く、人流の回復傾向が続く中、インバウンド需要が引き続き旺盛であったことから、前年同月比8.8%増と前年同月をかなりの程度上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態として、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、前月からの季節限定メニューが好評であった他、価格改定による客単価の上昇もあり、同4.7%増と前年同月をやや上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風も、定番の季節メニューが好評であったことから、同13.2%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、一部で店舗数や売り上げの減少が見られるものの、客単価の上昇から、同5.1%増と前年同月をやや上回った。
推定期末在庫・推定出回り量
10月の推定期末在庫は、15万877トン(前年同月比8.5%減)と前年同月をかなりの程度下回った(図4)。このうち、輸入品は13万7851トン(同9.2%減)と前年同月をかなりの程度下回った。
推定出回り量は、7万5369トン(同2.8%減)と前年同月をわずかに下回った(図5)。このうち、国産品は2万9463トン(同3.1%増)と前年同月をやや上回った一方、輸入品は4万5907トン(同6.2%減)と前年同月をかなりの程度下回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)