畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 牛肉生産量は増加、牛肉価格は下落

海外需給【牛肉/中国】畜産の情報 2024年1月号

牛肉生産量は増加、牛肉価格は下落

印刷ページ
23年1〜9月の牛肉生産量、前年同期比5.0%増
 中国国家統計局によると、2023年1〜9月期の牛肉生産量は、前年同期比5.0%増の509万トンとなった(図1)。
 中国農業農村部が23年4月に公表した「中国農業展望報告(2023−32)」(注1)によると、23年の牛肉生産量は飼養頭数の増加などにより729万トン(前年比1.5%増)と増加を見込んでいる。
 
(注1)海外情報「中国農業展望報告(2023−2032)を発表(牛肉編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003556.html)を参照されたい。

 
23年11月の牛肉価格、前年同期比6%安と20年水準に下落
 牛肉の卸売価格は、需要の拡大や飼料価格高騰などを背景に2019年後半以降高値で推移していたが、23年に入ってからは緩やかに下降している。同年6月以降は21年を下回る水準となり、11月には1キログラム当たり70.7元(1478円:1元=20.90円(注2)、前年同月比6.0%安)と、20年の水準にまで下落した(図2)。
 この要因について現地専門家は、(1)肉牛飼養頭数の増加などにより牛肉生産量が増加していること(2)豚肉価格の下落(注3)により相対的に価格の高い牛肉の購買意欲が低下したこと(3)5月以降の気温の上昇や夏休みによる学校給食の休止などの季節的な要因により消費が減少したこと−を挙げている。また、7月末に2回行われた国家備蓄制度による牛・羊肉の買入れ・保管や、9月末から10月初旬の祭日(中秋節および国慶節)での牛肉需要の増加などを受け、やや値を戻したものの、反転の兆しは見られない状況にあるとみている。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年11月末TTS相場。
(注3)『畜産の情報』2023年12月号「豚肉価格は季節需要でやや回復も、前年並みの高騰は期待薄」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_003002.html)を参照されたい。

 
23年の牛肉輸入量は引き続き増加傾向で推移
 中国の牛肉輸入量は、牛肉生産量が増加基調にある一方、高まる需要を背景に増加傾向で推移している。2023年1〜10月の牛肉輸入実績を見ると、輸入の大部分を占める冷凍牛肉は220万8630トン(前年比2.7%増)とわずかに増加した(表1)。また、冷蔵牛肉の輸入量は5万901トン(同15.6%増)とかなり大きく増加した(表2)。
 一方、米国農務省は10月12日、24年の中国の牛肉輸入動向(冷凍および冷蔵)について、本年よりも減少するとのレポートを公表した(枝肉重量相当で23年:360万トン、24年:350万トン(23年比2.8%減))。同レポートでは、この減少要因について、中国での牛肉生産量が増加(770万トン、同2.7%増)する中で、消費の伸びの鈍化(1118万トン、同0.9%増)が見込まれるためとしている。



 
(調査情報部 平山 宗幸)