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海外需給【鶏肉/ブラジル】畜産の情報 2024年1月号

23年鶏肉輸出量、中国向けは前年の落ち込みから回復

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23年1〜10月の鶏肉輸出量は前年同期比7.5%増
 ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2023年1〜10月の鶏肉輸出量は395万3948トン(前年同期比7.5%増)と前年同期をかなりの程度上回った(表)。これは、米国など主要鶏肉生産国において、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生や生産コスト上昇などの影響で鶏肉の供給が減少したことから、ブラジル産鶏肉への需要が高まったためとみられる。
 輸出先別に見ると、最大の中国向けは59万2388トン(同30.8%増)と前年の落ち込みから大幅に回復した。一方、中国に次ぐアラブ首長国連邦(同3.4%減)や日本向け(同1.3%減)はいずれも前年同期を下回った。日本向けについては、後述のブラジルでのHPAIの発生により輸出が一時的に停止され、8〜9月の輸出量が前年同月より大幅に減少したことが影響した。このほか、インフレ対策として23年12月まで輸入関税の無税措置を講じているメキシコ向け(同20.9%増)は前年同期を大幅に上回った。
 

 
23年の鶏肉卸売価格は7月以降上昇に転じる
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、直近(2023年11月29日時点)のブラジルの鶏肉卸売価格(サンパウロ州)は、1キログラム当たり7.43レアル(223円:1レアル=30.00円(注)、前年同期比6.7%安)となった(図)。23年の価格の推移を見ると、22年12月ごろまで1キログラム当たり8レアル台を維持していたが、その後、鶏肉供給量の増加や牛肉、豚肉との価格差の縮小による鶏肉の価格競争力低下から需要が弱まり、23年7月には同5.66レアル(170円)と高値から3割程度下落した。しかし、その後は鶏肉供給減などにより、価格は上昇傾向に転じている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年11月末TTS相場および現地参考為替相場(Selling)。

 
ブラジル政府は23年11月、動物衛生緊急事態宣言を180日間延長
 ブラジルでは2023年5月10日、南東部エスピリトサント(ES)州で初めて野生の海鳥2羽からHPAIの感染が確認された。その後11月29日までに148件の感染が確認されている。このうち、6月にES州、7月に南部サンタカタリーナ州および9月に中西部マットグロッソドスル州で計3件、自家消費用に飼っていた家きんから感染が確認された。この3件の感染確認を受けて日本政府は、ブラジルからの家きん肉などの輸入停止措置を講じた(10月20日までにすべて停止解除措置済み)。
 また、ブラジル農牧省(MAPA)は5月22日、全国を対象に動物衛生緊急事態宣言(この措置は180日間有効)を発出し、連邦政府が同国行政機関や民間組織と連携し、疾病のまん延防止のための緊急行動を実施した。さらにMAPAは11月7日、同宣言の期間をさらに180日間延長することを公表した。
 
(調査情報部 井田 俊二)