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海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2024年1月号

GDT価格、チーズが今年最安値を記録

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23年10月の生乳生産量、前年同月並み
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年10月の生乳生産量は301万6000トン(前年同月比0.3%減)と前年同月並みになった(図1)。この結果、23/24年度(6月〜翌5月)の10月までの累計では、733万トン(前年同期比0.7%減)とわずかな減少にとどまった。今後の生乳生産量についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、乾燥気候をもたらすエルニーニョ現象の発生が予想よりも遅く、南島の主要生乳生産地帯であるカンタベリー地方を中心に牧草の生育状況が非常に良好であることから、好転すると見込んでいる。

 
23年10月の乳製品輸出量、主要4品目すべてが前年同月を上回る
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年10月の乳製品輸出量は、主要4品目すべてで前年同月を上回った(表、図2)。品目別では、脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けのほか、主要輸出先であるマレーシア向けが同4倍程度増加したことから大幅に増加した。全粉乳は最大の輸出先の中国やインドネシア向けが減少したものの、主要輸出先の日本やアルジェリア向けが増加したことから、かなりの程度増加した。また、バターおよびバターオイルは最大の輸出先である中国向けは減少したが、日本やインドネシア向けが増加したことでやや増加した。チーズは中国をはじめ豪州、韓国向けがそれぞれ増加したことから大幅に増加した。




 
23年11月下旬のGDT価格、主要3品目で下落
 2023年11月21日開催のGDT(注1)平均取引価格は、全粉乳を除く主要3品目で前回開催(11月7日)時の価格を下回った(図3)。特にチーズの平均取引価格は1トン当たり3637米ドル(53万8530円:1米ドル=148.07円(注2)、前回比10.0%安)とかなりの程度下落し、今年最安値を記録した。今後の予測についてNZXのエコノミストは、南半球でのエルニーニョ現象の発生などから、世界的に生乳供給量がさらに制限される可能性があり、先行きは不透明であるとしている。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年11月末TTS相場。

 
(調査情報部 工藤 理帆)