生産量
令和5年11月の牛肉生産量は、3万5031トン(前年同月比1.4%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛は1万8563トン(同2.8%増)と前年同月をわずかに上回った一方、交雑種は8910トン(同3.0%減)とやや、乳用種は7279トン(同6.6%減)とかなりの程度、いずれも前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の11月の平均生産量との比較では、2.4%増とわずかに上回る結果となった。
輸入量
11月の輸入量は、冷蔵品は、国内需要の低迷の他、米国産輸入量が現地相場の高騰もあり少ないことなどから、1万4442トン(前年同月比18.0%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。冷凍品は、国内の輸入品在庫量が多いことなどから、主要国を含むほとんどの輸入先からの輸入量が少なく、1万8946トン(同13.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図3)。この結果、全体では3万3409トン(同15.2%減)と前年同月をかなり大きく下回った。
なお、過去5カ年の11月の平均輸入量との比較でも、冷蔵品は29.1%減、冷凍品は26.2%減と、ともに大幅に下回る結果となった。
家計消費量等
11月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は154グラム(前年同月比2.1%減)と前年同月をわずかに下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の11月の平均消費量との比較でも、13.7%減とかなり大きく下回る結果となった。
11月の外食産業全体の売上高は、コロナ禍後の消費者の外食意欲が継続して回復しており、忘年会シーズンに向けて宴会需要が徐々に増加、加えてインバウンド需要も好調であったことから、前年同月比9.8%増と前年同月をかなりの程度上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態として、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、客数が前年を下回っているものの、期間限定メニューなどが好調であったことと客単価の上昇により、売り上げは堅調であり、同5.2%増と前年同月をやや上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風も、引き続き定番の冬季メニューが好調で、同14.0%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、都心部の店舗と食べ放題業態が好調なことなどから、同11.4%増と前年同月をかなり大きく上回った。
推定期末在庫・推定出回り量
11月の推定期末在庫は、13万8781トン(前年同月比14.7%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図4)。このうち、輸入品は12万5976トン(同16.0%減)と前年同月を大幅に下回った。
推定出回り量は、7万9693トン(同4.2%増)と前年同月をやや上回った(図5)。このうち、国産品は3万4409トン(同2.3%減)と前年同月をわずかに下回った一方、輸入品は4万5284トン(同9.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)