令和5年12月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり247円(前年同月差37円安)と、前年同月を下回った(図1)。また、前月から7円下落し、同年において最安となった。
例年、同価格は年末に向けて気温の低下とともに上昇する傾向があるものの、5年は年末に向かって下押し傾向で推移した。
今後について、供給面を見ると、鶏卵供給量に影響を与える一因となる採卵用めすの出荷・え付け羽数は、一般社団法人日本種鶏孵卵協会によると、5年1〜11月の累計で見ると、9207万3000羽(前年同期比2.1%増)となり、前年同期をわずかに上回った(図2)。なお、え付けしたひなが産卵を開始するのは約5カ月後とされる。
今後も気温の低下など産卵に適した時期が続くことや、え付け羽数の増加傾向などに見られる4年度シーズンの高病原性鳥インフルエンザ発生農場における生産再開の進展に加え、産卵率、卵重の回復などにより、堅調な出荷が続いていくと考えられ、供給量の回復が期待される。
需要面は、インバウンド需要や外出機会の増加などによる好調な外食需要や、鍋物などの季節需要が期待される一方で、例年、年明けには需要が落ち着くことから価格は低下する傾向にあり、今後の動向が注視されている。
令和6年度の補塡基準価格および安定基準価格が決定
農林水産省は令和5年12月13日、「令和6年度鶏卵生産者経営安定対策事業」のうち、「鶏卵価格差補塡事業」の発動基準となる補塡基準価格および「成鶏更新・空舎延長事業」の発動基準となる安定基準価格を決定した。補塡基準価格は鶏卵1キログラム当たり222円、安定基準価格は同202円となった(表)。
(畜産振興部 生駒 千賀子)