23年1〜9月の豚肉輸出量、前年同期比11.6%減
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2023年1〜9月の豚肉輸出量は13万2700トン(前年同期比11.6%減)とかなり大きく減少した(表1)。輸出先別に見ると、輸出先第1位の日本向けは10万3700トン(同4.8%減)とやや減少した。第2位の米国向けは、ペソ高で推移する為替相場によるメキシコ産豚肉の価格競争力の低下などから、1万9700トン(同27.5%減)と大幅に減少した。一方、韓国向けは堅調な需要により8900トン(同73.7%増)と大幅に増加した。なお、中国向けは同国内での生産回復に伴い22年6月以降、輸出は行われていない。23年の輸出量についてUSDAは、24万5000トン(前年比14.0%減)とかなり大きく減少すると見込んでいる。
生体豚価格は23年4月以降、前年を大幅に下回って推移
メキシコ国家情報市場統合システム(SNIIM)によると、2023年11月の生体豚価格は、1キログラム当たり39.95ペソ(373円:1ペソ=9.35円(注)、前年同月比17.0%安)と大幅に下回った(図)。同価格は、国内の豚肉生産量が増加する中で輸出量の減少などから需給が緩和したことで、23年4月以降、前年同月を大幅に下回って推移している。また、同年11月の豚枝肉価格は堅調な国内需要などから66.50ペソ(621円、同3.9%高)とやや上回った。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。
24年の豚肉生産量は前年比1.3%増
USDA/FASは2023年8月3日、24年のメキシコの豚肉需給見通しを発表した。これによると、豚肉需要の高まりや飼料価格の低下による生産者の利益率向上などを背景に、24年の豚と畜頭数は2095万頭(前年比0.1%増)と前年並み、豚肉生産量は159万トン(同1.3%増)とわずかな増加が見込まれている(表2)。
同年の豚肉消費量については、国内人口が増加傾向にある中で261万トン(同1.0%増)とわずかな増加が見込まれている。また、同年の豚肉輸出量は生産量が増加する中で、輸出需要が堅調なことから25万トン(同2.0%増)と前年をわずかに上回ると見込まれている。
(調査情報部 伊藤 瑞基)