23年1〜10月の鶏肉生産量は前年同期比1.0%増
タイ農業協同組合省農業経済局によると、2023年1〜10月の鶏肉生産量は220万5215トン(前年同期比1.0%増)となった(図1)。また、24年の鶏肉生産について現地関係者によると、最近の鶏肉価格の下落を受けて生産者の規模拡大意欲が乏しいとされる中で、飼料価格の下落や観光業などからの需要回復が期待されることで、23年と同様に前年比1%程度の増加が予測されている。
23年11月の鶏肉卸売価格、下落傾向も高い水準を維持
2023年11月の鶏肉卸売価格は、前年同月比2.8%安の1キログラム当たり56.9バーツ(240円:1バーツ=4.21円(注1))となった(図2)。アフリカ豚熱の影響から豚肉供給量が減少し鶏肉需要が高まった22年を下回って推移しているが、引き続き高い水準を維持している。現地関係者によると、鶏肉需要の回復が期待される一方で、豚肉供給量の増加も予測されることから、タイの鶏肉卸売価格の見通しは不確実な状況が続くとみられている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。
23年1〜10月の冷凍鶏肉輸出量は前年を大幅に上回る
2023年10月の冷凍鶏肉輸出量は、4万774トン(前年同月比27.4%増)と大幅に増加し、同年1〜10月の累計でも39万7447トン(前年同期比39.3%増)と大幅に増加した(表1)。
現地関係者によると、タイの鶏肉輸出企業各社は鶏肉調製品の輸出が落ち込む中で、冷凍鶏肉の輸出を増やしているとされ、中でも高病原性鳥インフルエンザにより鶏肉需要が増加している中国および香港、関税引き下げを実施している韓国(注2)向けの伸びが目立っている。
23年1〜10月の鶏肉調製品の輸出量は前年を下回る
2023年1〜10月の鶏肉調製品輸出量は、49万5263トン(前年同期比10.7%減)と前年同期をかなりの程度下回った(表2)。このうち、日本向けは23万9373トン(同9.9%減)と前年同期をかなりの程度下回り、欧州(オランダおよび英国)向けも前年同期を下回っている。現地関係者によると、主要輸出先での外食需要の低迷が要因としており、今後、需要の回復が見込まれるものの、好調であった22年の水準には達しないとみられている。
(調査情報部 海老沼 一出)