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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2024年2月号

23年10月の生乳出荷量は減少、乳価は上向く

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23年10月の生乳出荷量、2カ月連続で前年同月を下回る
 欧州委員会によると、2023年10月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1150万5000トン(前年同月比1.7%減)と2カ月連続で前年同月を下回った(図1)。
 主要生産国別に見ると、ポーランド(同1.5%増)は前年同月を上回った一方、ドイツ(同0.0%減)、フランス(同4.5%減)、オランダ(同2.4%減)、イタリア(同2.0%減)およびアイルランド(同12.6%減)はいずれも前年同月を下回った。中でもオランダは2カ月連続で前年同月を下回り、現地報道によると、同国で9月に発生したブルータング(注1)の影響が継続しているとされ、24年の天候が23年を上回る干ばつや暑熱を伴う場合は、さらに影響が長引く可能性があるとされる。
 
(注1)欧州委員会の動物疾病情報システム(ADIS)によると、ベルギー、ドイツおよびスペインでも確認が報告されている。海外情報「英国で16年ぶりに牛のブルータングが発生(英国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003657.html)も参照されたい。

 
23年10月の生乳取引価格、前年同月を下回るも下げ止まり感
 欧州委員会によると、2023年10月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり44.29ユーロ(7025円:1ユーロ=158.62円(注2)、前年同月比21.8%安)と前年同月を大幅に下回った(図2)。ただし、前月比では2.0%高と10カ月ぶりに前月をわずかに上回り、下げ止まりの傾向を見せている。米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、生乳出荷量が減少する中で、乳業各社は一定量の生乳を確保するため、生乳取引価格を維持する必要性が生じているとされる。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。

 
23年第1〜3四半期の乳製品輸出量は前年同期比増
 欧州委員会によると、2023年第1〜3四半期(1〜9月)のEU域外向け乳製品輸出量は、主要乳製品4品目すべてで前年同期を上回った(表)。中でも、脱脂粉乳は同四半期の生産量が113万4000トン(前年同期比4.2%減)と前年同期をやや下回ったが、輸出量は同19.3%増と大きく伸びている。現地報道によると、競合する米国では、同年1〜10月の脱脂粉乳生産量が93万4000トン(同5.8%減)となったことで、EU産への需要が高まったことを要因に挙げている。
 

 
(調査情報部 渡辺 淳一)