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海外需給【牛乳・乳製品/豪州】畜産の情報 2024年2月号

生乳生産量は前年同期をわずかに上回る水準で推移

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23年10月の生乳生産量、約2年ぶりに90万キロリットルを上回る
 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2023年10月の生乳生産量は、前年同月比2.0%増の90万6400キロリットル(93万3592トン相当)となった(図1)。豪州の生乳生産の最盛期である9〜11月の月間生乳生産量が90万キロリットルを上回るのは、22年11月以来、約2年ぶりとなる。この結果、23/24年度(7月〜翌6月)の10月までの累計生乳生産量は、前年同期比0.9%増の294万2200万キロリットル(303万466トン相当)となった。前々年度(21/22年度)の同期間との比較では5.7%減となるが、酪農家戸数の減少や労働力不足の影響がある中で、高い生乳生産者価格が増産を後押ししている。
 23/24年度の生乳生産量についてDAは、23年12月時点の見通しとして、前年度並みの812万9000キロリットル(837万2870トン相当)としている。この要因としてDAは、(1)エルニーニョ現象の発生により乾燥した気候が予想される中で、生乳生産量の過半を占めるビクトリア州を含む豪州南部地域で一定の降雨が記録され、当面の牧草確保の見通しが立ったこと(2)酪農家戸数の減少や労働力不足は続くものの、前述の状況もあり、23年10月の乳用牛と畜頭数が顕著に減少していること(3)未経産牛の生体輸出が23年9月までの12カ月間で前年同期比26%減となっており、今後、搾乳頭数の増加が見込めること−を挙げている。

 
23年10月の乳製品輸出量、主要乳製品減少の中でチーズのみ増加
 DAが発表した2023年10月の主要乳製品4品目の輸出量は、品目別に大きく異なる動きを見せた(表、図2)。
 脱脂粉乳は、インドネシアやマレーシア向けが好調に推移したものの、中国向けが大きく減少したことを受け、前年同月比で大幅に減少した。全粉乳は、タイ向けは好調に推移したものの、中国をはじめとした他のアジア諸国やアラブ首長国連邦向けが減少したことを受け、大幅に減少した。バターおよびバターオイルは、中国をはじめとするアジア向けの減少が響いて大幅に減少したのに対し、チーズは、輸出先第1位の日本向けは減少したものの、第2位の中国やマレーシア向けの増加などを受け、かなり大きく増加した。
 



 
(調査情報部 平山 宗幸)