23年11月の生乳生産量、天候要因から前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年11月の生乳生産量は282万トン(前年同月比0.5%減)とわずかに減少した(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、北島での日照不足による牧草生育の不良を挙げ、12月の牧草生育状況もエルニーニョ現象の発生により、さらに悪化していると伝えている。特に主要生乳生産地帯である北島のワイカトやノースランドの広範囲で、過去2週間の降雨量が5ミリ以下と非常に乾燥した気候にあり、今後の生乳生産への影響が危惧されている。
23年11月の乳製品輸出量、主要4品目が前年同月比増
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年11月の乳製品輸出量は、主要4品目すべてで前年同月を上回った(表、図2)。品目別では、脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けが減少する中、主要輸出先のインドネシア向けの増加からかなりの程度増加した。全粉乳は、最大の輸出先である中国向けが、COVID−19の拡大によって需要が減少した前年同月の反動からかなり大きく増加したほか、上位輸出先であるマレーシア向けが前年同月比で2倍程度増加したことを受けて大幅に増加した。バターおよびバターオイルも最大の輸出先である中国向けが大幅に増加したことで全体でも大幅に増加した。チーズは豪州、日本、韓国向けが減少する中、中国向けの大幅な増加からやや増加した。
23年12月下旬のGDT価格、バターなど主要3品目で上昇
2023年12月19日開催のGDT(注1)平均取引価格は、脱脂粉乳を除く主要3品目で前回開催(12月5日)時の価格を上回った(図3)。また、全乳製品の平均取引価格は3388米ドル(48万3908円:1米ドル=142.83円(注2)、前回比2.0%高)と続伸し、同年9月以降は上昇基調にある。このような中、NZの乳業最大手のフォンテラ社は12月7日、23/24年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均7.5NZドル(689円:1NZドル=91.91円(注2))に引き上げると発表した。前回公表時(23年10月9日)から同0.25NZドル(23円)の上乗せとなる。引き上げの理由について同社のハレル最高経営責任者は、最近のGDT価格の上昇を踏まえたものとし、同社の業績が好調に推移していることなどを挙げた。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳タンパク質。
(調査情報部 工藤 理帆)