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海外需給【飼料/中国】畜産の情報 2024年2月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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国産トウモロコシ価格、需給の緩和から弱含みでの推移と予想
 中国農業農村部は2023年12月25日、「農産物需給動向分析月報(2023年11月)」を公表した。この中で、同年11月の国産トウモロコシ価格は前月比6.2%安と前月に続き下落した(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では年末に向け、生産者が余剰在庫の出荷意欲を高めているなど安定した状況とされる。一方、需要面では養豚業の赤字から飼料向け需要が限られ、また、コーンスターチ製造など加工業界の収益性が改善されていないことから、取引は落ちついた状況とされている。このため、需給は緩和傾向にあり、国産トウモロコシ価格は弱含みでの推移が見込まれている。ただし、生産と需要には依然としてギャップがあるため、下落幅は一定の範囲にとどまるとみられている。
 各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年11月が1キログラム当たり2.18元(44円:1元=20.23円(注))となった。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.72元(55円)となったことで前月の同0.64元(13円)から同0.54元(11円)に縮小した。

 
国産大豆価格、供給の制約などから横ばいでの推移と予想
 2023年11月の国産大豆価格は前月比0.3%安となった(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では豊作が伝えられる中で市場供給量は十分な状況とされるが、価格上昇を期待して出荷を抑制する生産者が増えていると伝えられている。また、主産地である黒竜江省では、雪などの影響から物流への支障も報じられている。需要面では南部を中心に加工企業の販売低迷などから、取引業者は必要量のみを購入している状況とされている。また、備蓄在庫の保管能力が一部で上限に達するなど、全体的な動きは鈍くなりつつある。このため、需要は低調ながらも供給に一定の制約が生じていることで、国産大豆価格は、小幅安ながらも横ばいでの推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年11月が1キログラム当たり4.90元(99円、前年同月比15.0%安)と前年同月をかなり大きく下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.70元(115円、同10.0%安)と前年同月をかなりの程度下回った。国産大豆と輸入大豆の価格差は、同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同4.88元(99円)となったことで、同0.82元(17円)と前月から拡大した。なお、22年11月以降の輸入大豆の価格は、前回公表に続き再度修正されている。
 国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて高い水準で推移している。23年(1〜10月)の輸入量は8241万トン(前年同期比14.6%増)、輸入額は同3.2%増の500億9000万米ドル(7兆1544億円:1米ドル=142.83円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の72.4%)、米国(同23.1%)、アルゼンチン(同1.9%)である。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末TTS相場。

 
(調査情報部 横田 徹)