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国内需給【令和5年の牛および豚枝肉の格付結果】 畜産の情報 2024年3月号

令和5年の牛および豚枝肉の格付結果

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 公益社団法人日本食肉格付協会は、令和5年(1〜12月)の「牛枝肉格付結果(種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和6年1月24日版)を公表した。
 牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(109万8532頭)に対して84.3%と前年同となり、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1640万7211頭)に対して77.1%と前年から0.2ポイント減少した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。
 
【牛肉】「A−5」の格付頭数は4年連続で15等級の中で最多に
 5年の牛のと畜頭数は109万8532頭と前年比で1.5%増加した。品種別に見ると、和牛は50万6653頭(前年比3.4%増)、乳用牛は31万9411頭(同3.4%減)、交雑牛は26万1571頭(同5.2%増)、外国種などを含むその他の牛は1万897頭(同17.4%減)となった。
 このような中、同年の牛枝肉の総格付頭数は、同年の成牛のと畜頭数が増加(同1.5%増)したことから、92万6138頭(同1.6%増)と前年をわずかに上回った。品種別の格付頭数を見ると、「和牛」(48万7448頭)は同3.4%増、「交雑牛」(24万5411頭)は同4.6%増と前年を上回った一方、「乳用牛」(18万2584頭)は同5.0%減、外国種などを含む「その他の牛」(1万695頭)は同21.6%減と前年を下回った。
 牛肉は、「歩留等級(A〜C)」と「肉質等級(5〜1)」を組み合わせた15段階で格付されている。歩留等級とは、枝肉から得られる部分肉の割合を評価し、部分肉歩留が標準より良いものはA、標準のものはB、標準より劣るものはCと判定される。また、肉質等級とは、(1)脂肪交雑(サシ)(2)肉の色沢(3)肉の締まりおよびきめ(4)脂肪の色沢と質―の4項目を5段階で評価し、四つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定される。
 5年の全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A−5」が27万700頭(同9.3%増)と前年をかなりの程度上回り、4年連続で15等級の中で最多となった。全体に占める割合は、29.2%となり、前年から2.0ポイント増加した(図1)。「A−5」の内訳を見ると、和牛去勢が62.5%、和牛めすが36.1%と、和牛で約99%となっている。
 「A−5」に次いで多い「B−2」は、14万7755頭(前年比5.3%減)と前年をやや下回り、減少傾向が続いている。「B−2」のうち約4割を乳用牛去勢が占めており、乳用牛のと畜頭数の減少が「B−2」の格付頭数の減少の主な要因の一つとみられる。

 
 5年の歩留等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「A等級」の割合は51.7%と、平成26年と比較すると7.7ポイント増加した(図2)。また、肉質等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「5等級」の割合は29.8%と26年から18.2ポイント増加した一方、「4等級」は26年から1.7ポイント減少の20.0%となった(図3)。




 
 令和5年の品種別・性別の頭数を見ると、和牛去勢が26万8779頭(前年比1.9%増)と最も多く、次いで和牛めすが21万8494頭(同5.3%増)、交雑牛去勢が13万159頭(同4.6%増)、乳牛去勢が12万7651頭(同6.5%減)、交雑牛めすが11万5217頭(同4.6%増)となった(図4)。
 なお、品種別の割合は、和牛が52.6%(同0.9ポイント増)、交雑牛が26.5%(同0.8ポイント増)、乳用牛が19.7%(同1.3ポイント減)、その他の牛が1.2%(同0.3ポイント減)となった。


 
 5年の品種別・性別ごとの格付構成割合を見ると、和牛去勢は、「A−5」が63.0%と、前年から3.3ポイント増加した一方、「A−4」は26.1%と同2.1ポイント、「A−3」は6.7%と同0.5ポイントそれぞれ減少した(図5)。

 
 また、和牛去勢全体に占める「A等級」の割合は、96.8%(同0.5ポイント増)となった。
 交雑牛去勢は、「B−3」が最も多く、34.4%と前年から1.6ポイント、「B−2」も19.1%と同1.0ポイントそれぞれ減少した一方、「B−4」は16.6%と同0.9ポイント増加した(図6)。


 
 乳用牛去勢は、「B−2」が最も多く、51.6%と同1.0ポイント減少した一方、「C−2」は43.8%と同0.3ポイント増加した(図7)。

 
 
【豚肉】5年の格付構成比、「上」が52.4%、「中」が32.0%
 豚肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観(均称、肉づき、脂肪付着、仕上げ)、肉質(肉の締まりおよびきめ、肉の色沢、脂肪の色沢と質、脂肪の沈着)の基準に照らして、「極上」「上」「中」「並」「等外」の5等級に格付される。なお、5年1月より26年ぶりに改正された豚枝肉取引規格が適用されている(注)
 5年の豚枝肉の総格付頭数は、1264万7053頭(前年比1.3%減)と前年をわずかに下回った(図8)。等級別の格付頭数を見ると、「上」が662万2292頭(同6.3%増)と最も多く、次いで「中」が404万2079頭(同8.9%減)、「並」が136万8487頭(同11.8%減)、「等外」が46万8321頭(同7.0%減)、「極上」は14万5874頭(同47.9%増)となった。
 
(注)『畜産の情報』2023年9月号「豚肉取引規格の改正と新たな情報提供サービスについて」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002896.html)を参照されたい。

 
 5年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が52.4%(同3.8ポイント増)と最も多く、次いで「中」が32.0%(同2.6ポイント減)、「並」が10.8%(同1.3ポイント減)、「等外」が3.7%(同0.2ポイント減)、「極上」が1.2%(同0.4ポイント増)となった(図9)。等級別の格付構成比は「極上」と「上」を合わせると全体の5割以上を占めた。

 
(畜産振興部 田中 美宇)