令和6年1月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、例年、年末年始にかかる加工業者や量販店の休業などにより、産地に滞留した鶏卵が年明けの営業再開に伴い一斉に流通するため、年初の鶏卵相場の始値は大幅に下落する傾向があることから、1キログラム当たり180円(前年同月差100円安、前年同月比35.7%安)と、前年同月を大幅に下回った(図)。また、同価格は4年3月以降、22カ月ぶりに100円台となった。
6年の始値は、5年12月の終値(同245円)より65円安の同180円となり、その後、加工業者などによる買い入れが進み、荷余り状況が解消することにより、価格が上昇する傾向があるが、当月は価格に変動が生じず、1月末日まで同180円のままで推移した。
このような中、一般社団法人日本養鶏協会は、6年2月1日時点の鶏卵の標準取引価格(日ごと)が、安定基準価格(同190円)を下回る同174円になったことから同日に成鶏更新・空舎延長事業(注)が発動になったと発表した。
今後については、供給面は、4年度シーズンの高病原性鳥インフルエンザ発生農場における生産再開が順調に進んでいる一方で、同事業の発動もあることから、今後の動向を注視したい。
需要面では、昨シーズンの鶏卵不足により減少した食品製造事業者などの需要が戻り切っていない一方で、好調なインバウンド需要や、外出、外食の機会など、活発な人流が回復していることから、おでんやすき焼きなど外食店における卵を使用した季節メニューでの販売増や家庭内での鍋物など季節需要の増加が期待される。
(注)鶏卵生産者経営安定対策事業の一つであり、一般社団法人日本養鶏協会が実施する事業。同事業は、鶏卵の標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を下回った日の30日(10万羽未満の生産者は40日)前から標準取引価格(日ごと)が安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して奨励金を交付するものである。
(畜産振興部 生駒 千賀子)