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海外需給【牛肉/EU】畜産の情報 2024年3月号

23年10月の牛肉生産量は主要生産国で前年同月を上回る

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23年10月の牛肉生産量、9カ月ぶりに前年同月を上回る
 欧州委員会によると、2023年10月の牛肉生産量(EU27カ国)は、と畜頭数の増加(前年同月比4.3%増の198万2730頭)により、57万5290トン(同3.6%増)となり、同年1月以来、9カ月ぶりに前年同月を上回った(図1)。同月の牛肉生産量を加盟国別に見ると、イタリア(同3.7%減)を除きすべての主要生産国で前年同月を上回り、ベルギー(同10.9%増)やポーランド(同9.1%増)などではかなりの程度増加した。同委員会が10月9日に公表した農畜産物の短期的需給見通し(注1)によると、年末にかけて飼料価格の下落などにより牛肉生産量の回復が期待されるとしていた。また、23年1〜10月の累計牛肉生産量は、527万5650トン(前年同期比4.2%減)となった。同見通しによると、23年の牛肉生産量は前年比3.1%減の651万トンと見込まれている。
 
(注1)海外情報「欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003610.html)を参照されたい。
 

 
23年12月の枝肉卸売価格、前年同月をわずかに上回る
 2023年12月の牛枝肉平均卸売価格(注2)は、100キログラム当たり496.86ユーロ(8万228円、1ユーロ:161.47円(注3)、前年同月比0.5%高)となり、6カ月ぶりに前年同月を上回った(図2)。現地報道によると、枝肉価格上昇の理由として、EU域内の供給量がひっ迫する中、クリスマスシーズンに向けて外食や小売需要が高まったことを挙げている。欧州委員会が23年12月7日に公表した35年までの中期的見通しによると、今後数年でEU域内の牛肉需給バランスが改善されるため、EUの牛肉価格は下落の可能性があるものの、中長期的には牛肉生産量の減少から高い水準に落ち着くと予測している。
 
(注2)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。

 
23年10月の牛肉輸出量は大幅に増加、輸入量は大幅に減少
 2023年10月の牛肉輸出量は、3万8683トン(前年同月比16.6%増)と大幅に増加した(表1)。EU産牛肉価格の高止まりによる価格競争力の低下によりフィリピン向けなどは減少しているものの、22年にトルコがEU産牛肉の輸入を再開したことで、冷蔵を中心とした同国向け輸出の伸びが全体の輸出増をけん引した。また、23年1〜10月の累計牛肉輸出量は35万3446トン(前年同期比1.2%増)とわずかに増加した。
 一方、同月の牛肉輸入量は、主要輸入先である英国、アルゼンチンなどからの輸入量が減少したことが影響し、1万9523トン(前年同月比19.3%減)と大幅に減少した(表2)。同委員会は前述の短期的見通しの中で、23年の牛肉輸入量を前年比2.0%減と見込んでいる。




 
(調査情報部 藤岡 洋太)