畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 24年1月の肉牛価格、降雨による牧草肥育農家の需要増で上昇

海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2024年3月号

24年1月の肉牛価格、降雨による牧草肥育農家の需要増で上昇

印刷ページ
24年1月の肉牛価格、23/24年度最高値を更新
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は2024年初から上昇に転じており、直近1月30日時点の同価格は1キログラム当たり657豪セント(651円:1豪ドル=99.16円(注))と、23/24年度(7月〜翌6月)の最高値を更新した(図1)。この要因についてMLAの肉牛市場担当者は、最近の降雨により、今後も牧草の確保が可能と見込んだ牧草肥育農家からの肥育もと牛の需要が高まったことを挙げている。豪州気象局(BOM)は、エルニーニョ現象が秋口(3月ごろ)まで続く可能性を示唆しており、2〜4月の3カ月予報では平年よりも降雨量が少ないが、3〜5月の同予報では豪州北東部を除く広範な地域で平年並みか平年以上の降雨があるとしている(図2)。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。

 

 
24年1月の成牛と畜頭数は大幅増
 2024年1月第3週の成牛と畜頭数は、11万6113頭(前年同月同週比17.0%増)と、1月としては先の干ばつによる牛群淘汰とうたでと畜頭数が特に多かった20年以来の高水準となった(図3)。現地報道によると、特にクイーンズランド州のと畜頭数が1月第2週から大幅に増加(前週比65.4%増)しており、全体のと畜頭数の約半数を占めるとしている。

 
23年の牛肉輸出量は4年ぶりの高水準
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2023年12月の牛肉輸出量は10万6724トン(前年同月比40.2%増)と大幅に増加した(表)。また、年間の累計輸出量は108万2405トン(前年比26.7%増)となり、先の干ばつの影響で122万8963トンの輸出量を記録した19年以来の高水準となった。輸出先別に見ると、23年12月は米国向けが3万5782トン(前年同月比2.2倍)と大幅に増加し、年間累計でも24万6075トン(前年比83.7%増)と輸出量全体の22.7%を占めるなど、豪州の輸出増をけん引した。日本向けは年間累計では前年をやや下回った(同3.5%減)ものの、12月は1万9014トン(前年同月比15.7%増)とかなり大きく増加したことで、輸出先第2位となった。24年の日本向け輸出について現地報道によると、米国産牛肉供給量の減少や外食産業の需要回復、円高予想などにより、堅調に推移する可能性が示唆されている。ただし、個人消費を喚起するためには、さらなる日本経済の改善が必要とされている。また中国向けは、コロナ禍からの経済回復に伴い12月、年間累計ともに大幅に増加したが、現地報道によると、より安価な南米産牛肉の輸入量を増やしていることから、23年の同国の輸入牛肉に占める豪州産の割合は約7%にとどまっているとしている。

 
(調査情報部 国際調査グループ)