畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 23年12月の乳価は前年同月比16.6%安

海外需給【牛乳・乳製品/米国】畜産の情報 2024年3月号

23年12月の乳価は前年同月比16.6%安

印刷ページ
23年12月の乳用経産牛飼養頭数は前年同月比0.4%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年12月の乳用経産牛飼養頭数は935万7000頭(前年同月比0.4%減)とわずかに減少した(図1)。この要因として現地情報によると、23年の酪農マージンが低迷したことや、肉牛価格の高騰により乳用牛の出荷が増えていることが挙げられている。
 23年12月の生乳生産量は、飼養頭数が減少する中で854万7000トン(同0.3%減)と前年同月並みとなった(図2)。また、23年の累計(1〜12月)では、上半期の生乳生産量が前年を上回って推移したことで1億276万2000トン(前年同)となった。24年の生乳生産量についてUSDAは、飼養頭数が減少する一方、1頭当たり泌乳量の増加から1億354万6000トン(前年比0.8%増)とわずかな増加を見込んでいる。




 
23年11月の乳製品輸出量は全体的に減少
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年11月の主要乳製品輸出量は、アジア諸国などの需要が減少する中、チーズを除きいずれも前年同月を下回った(表)。品目別に見ると、脱脂粉乳はメキシコやアジア諸国の需要減により、前年同月比4.7%減とやや減少した。また、ホエイは、主要輸出先である中国の養豚業の収益性低下による飼料需要の低迷を受けて、同25.4%減と大幅に減少した。一方で、チーズは国内価格の下落により輸出競争力が増していることに加え、主要輸出先であるメキシコ向けが外食向けシュレッドチーズ需要などの高まりから、同4.1%増とやや増加した。

 
23年12月の平均総合乳価は前年同月比16.6%安
 米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2023年12月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり20.6米ドル(1キログラム当たり67円:1米ドル=148.55円(注1)、前年同月比16.6%安)と前年同月を大幅に下回り、前月比でも5.1%安と、5カ月ぶりに下落に転じた(図3)。現地情報によると、生乳生産量がほぼ前年並みで推移する中で、乳製品の輸出需要が軟調にあることが乳価下落の要因とされている。この結果、同月の酪農マージン(注2)は飼料費の下落により幾分下支えされたものの、前年同月比13.5%減の同8.44米ドル(同28円)となった。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2024年1月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補塡ほてんが発動される。
 

 
(調査情報部 小林 大祐)