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海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2024年3月号

バターやチーズなどの輸出量が減少

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23年12月の生乳生産量、7カ月ぶりに前年同月を上回る
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年12月の生乳生産量は261万2000トン(前年同月比0.9%増)とわずかに増加し、7カ月ぶりに前年同月を上回った(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、エルニーニョ現象の影響が予想よりも弱く、適度な降雨が続いたことで、牧草の生育状況が良好であったことを挙げている。一方、24年1月に入り、エルニーニョ現象の影響が強まったことで、全国的に気温の上昇や降雨量の減少が見られることから、今後の生乳生産への影響が懸念されている。

 
23年12月の乳製品輸出量、バターやチーズが大幅減
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年12月の乳製品主要4品目の輸出量は、品目別に大きく異なる動きを見せた(表、図2)。脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けが減少したが、主要輸出先のインドネシア向けの大幅な増加を受けてわずかに増加した。また、全粉乳は最大の輸出先である中国やインドネシア向けの伸びからわずかに増加した。一方、バターやチーズなどの高付加価値製品は、最大の輸出先である中国向けの大幅な減少が響き、全体でも大幅に減少した。




 
 24年1月中旬のGDT価格、主要4品目すべてで上昇
  2024年1月16日開催のGDT(注1)平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催(同年1月2日)時の価格を上回り、全乳製品の平均取引価格は3493米ドル(51万8885円:1米ドル=148.55円(注2)、前回比3.9%高)と上昇した(図3)。NZXによると、乳製品は地域別の購買状況に変化が生じたとされ、全粉乳は中東が北アジア(注3)に代わって最大購入地域となった。これは、紅海周辺の軍事的緊張感の高まりによる先行きの不透明感から、中東の引き合いが強まったものとされている。また、NZXは、これら紅海周辺の問題に加え、記録的な干ばつによるパナマ運河の水位低下により、海上輸送費の高騰や輸送遅延が生じていることを挙げ、今後の動向を注視する必要があるとしている。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年1月末TTS相場。
(注3)ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、北朝鮮、台湾を北アジアとしている。


 
(調査情報部 工藤 理帆)