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海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2024年4月号

23年第4四半期、雌牛の保留などでと畜頭数と牛肉生産量は減少

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24年2月の肉牛価格、約10カ月ぶりの高値を記録
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格(2月26日時点)は、1キログラム当たり628豪セント(627円:1豪ドル=99.88円(注1))となった(図1)。同価格は2024年2月初旬に同679豪セント(678円)と昨年4月並みの水準に回復し、その後は若干の下落があるものの横ばいで推移している。豪州気象局によると、24年2月末現在、牧草の生育を阻害する乾燥した気象をもたらすエルニーニョ現象の発生は継続しているが、4月には終息を迎えると予想されている。他方で現地報道によると、家畜市場への十分な肉牛の出荷があるものの、主要飼養地域であるクイーンズランド州では、特に肥育農家からの需要が高いとされるため、一部の市場関係者は、今年7〜8月にはEYCIが同800豪セント(799円)まで上昇すると予想している。また、豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAが四半期ごとに共同で実施している全国フィードロット飼養動向調査によると、23年10〜12月期末のフィードロット飼養頭数は129万4531頭と過去最高を記録していることから、気象に左右されないフィードロットでの肥育需要の高まりが考えられる(注2)
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年2月末TTS相場。
(注2)海外情報「2023年12月末のフィードロット飼養頭数、収容可能頭数ともに過去最高を更新(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003723.html)を参照されたい。
 

 
23年10〜12月のと畜頭数、牛肉生産量はいずれも減少
 豪州統計局(ABS)が2024年2月に公表した統計によると、23年10〜12月期の牛のと畜頭数は185万頭(前期比3.3%減)、牛肉生産量は57万8900トン(同1.8%減)といずれも減少に転じた(図2)。現地報道によると、同年11月以降、一定の降雨量により牧草を確保できたことから、雌牛を保留する動きや牧草肥育牛の肥育期間の長期化が見られたとされており、直近の雌牛と畜割合(FSR)からも牛群整理に歯止めがかかったことがうかがえる(図3)。





 
24年1月の牛肉輸出量、米国を中心に大幅増
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2024年1月の牛肉輸出量は7万5585トン(前年同月比46.9%増)と大幅に増加した(表)。
 同月の輸出量を輸出先別に見ると、米国向けは2万308トン(同2.3倍)と大幅に増加し、引き続き同国内の牛肉生産量の減少が輸出を後押ししている。また、日本や中国向けも、同3割を超える大幅な増加となった。またMLAによると、東南アジアでは、西洋料理のほか、日本料理や韓国料理などの外食需要の高まりが牛肉を中心とした赤身肉の消費拡大の原動力になっているとしている。
 

 
(調査情報部 国際調査グループ)