23年の家きん肉生産量は前年比増
中国国家統計局によると、2023年の家きん総出荷羽数は168億2000万羽(前年比4.2%増)、生産量は2563万トン(同4.9%増)となり、いずれも前年をやや上回った。また、同年末の家きん飼養羽数は67億8000万羽(同0.2%増)となった。現地関係者によると、同国の飼養羽数を左右する白羽肉鶏原種鶏の輸入および更新量について、23年は高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響を受けた前年を3割上回ったとされている。中国農業農村部によると、23年上期(1〜6月)の家きん肉生産は前年を上回る安定的な供給になったが、鶏肉価格の下落に伴い生産者の収益性が悪化したことで、下期(7〜12月)の生産規模は縮小傾向になったとされる。
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の直近の見通しによると、23年の中国の鶏肉生産量(注1)は1480万トン(同3.5%増)と、過去最高を記録した21年と同等の水準が見込まれているが、24年は収益性の低下などを要因に23年を下回ると予測されている(表1)。
23年の鶏肉価格はおおむね下落傾向
中国農業農村部によると、2024年2月第1週の鶏肉市場価格は、1キログラム当たり24元(508円:1元=21.18円(注2)、前年同期比3.6%安)と前年同期をやや下回った(図)。
中国の鶏肉消費動向についてUSDA/FASによると、23年は新型コロナウイルス感染症の影響緩和から、主要都市では外食需要が回復したが、地方都市では従来の消費習慣から外食をぜいたくと捉える消費者が依然として多く、外食を控える傾向が見られるとされる。これに加えて、24年は景気の動向に悲観的な消費者が外食頻度を減らすことで、鶏肉消費量が減少する可能性があるとされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年2月末TTS相場。
23年の鶏肉輸入量は前年をわずかに下回る
2023年の冷凍鶏肉輸入量は、128万3093トン(前年比0.7%減)と前年をわずかに下回った(表2)。中国農業農村部によると、国内鶏肉供給量は十分であり、国内の鶏肉価格も下落傾向にあることで、輸入量は減少したとされている。
同年の米国からの中国向け鶏肉輸出についてUSDA/FASは、米国産はブラジル産に比べ品質の面で優位としつつも、HPAIによる米国産鶏肉の輸入制限が影響したとされている。また、24年についても、中国国内の減産が見込まれるものの、一方で輸入在庫が港湾倉庫を圧迫しているとして、輸入量を伸ばせる状態にはないと見込まれている。
23年の鶏肉調製品輸出量は前年をわずかに下回る
2023年の鶏肉調製品の輸出量は、29万9584トン(前年比1.9%減)と前年をわずかに下回った(表3)。主要な輸出先は引き続き日本であるが、英国やフィリピンなどの主要輸出先以外向けの輸出量も増加している。
(調査情報部 海老沼 一出)