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海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2024年4月号

23年の生乳出荷量は前年並み、主要乳製品生産量は増加

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23年12月の生乳出荷量、前年同月並みとなる
 欧州委員会によると、2023年12月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1145万4000トン(前年同月比0.3%減)と前年同月並みとなった(図1、表)。主要生産国別に見ると、ポーランド(同2.5%増)およびイタリア(同3.7%増)は前年同月を上回った一方、多くの国で前年同月を下回った。中でもアイルランド(同27.1%減)の減少率は前月に引き続き大きく、23年の累計生乳出荷量も前年比4.1%減となった。現地報道によると、秋以降の乳価が生産コストを下回ったことと、天候不順を受け生産者が通常より早期の乾乳を選択したためという。
 23年上半期(1〜6月)の生乳出荷量は、生乳取引価格が高水準であったことや欧州北部の牧草生育が良好となったことで前年同期をわずかに上回った(前年同期比0.8%増、図2)。下半期(7〜12月)は生乳取引価格が前年同期を大幅に下回ったことや、依然として高止まりにある生産コストにより前年同期をわずかに下回った(同0.9%減)。結果として23年の生乳出荷量は、前年並みとなった。
 







 
23年12月の生乳取引価格、3カ月連続で上昇
 欧州委員会によると、2023年12月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり46.61ユーロ(7679円:1ユーロ=164.75円(注)、前年同月比20.0%安)と前年同月を大幅に下回った(図3)。ただし、前月比では2.6%高となり、3カ月連続で前月をわずかに上回った。
 なお、生乳取引価格の上昇は9月以降の乳製品価格の上昇と連動しているが、直近の乳製品価格はおおむね横ばいで推移している。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年2月末TTS相場。


 
23年の主要乳製品生産量、脱脂粉乳を除き前年比増
 欧州委員会によると、2023年(1〜12月)の乳製品生産量は、バター(前年比2.2%増)、全粉乳(同3.0%増)、チーズ(同1.5%増)、脱脂練乳(同6.7%増)およびクリーム(同3.0%増)がいずれも増加した(図4)。前述の通り生乳出荷量は前年並みとなったが、現地報道によると、夏の気候が安定しており熱波が比較的少なかったため、平均乳脂肪分が4.1%と前年を上回り、アイルランドでは過去最高の4.3%を記録したとされる。一方、リビアやサウジアラビア向けなどの輸出需要を背景とする脱脂練乳生産量の増加により、脱脂粉乳(同4.9%減)の生産量は前年を下回った。
 

 
(調査情報部 渡辺 淳一)