24年1月の生乳生産量、再び前年同月割れに転じる
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2024年1月の生乳生産量は232万4000トン(前年同月比1.2%減)とわずかに減少した(図1)。23年12月の生乳生産量は7カ月ぶりに前年同月を上回ったことで今後の増産が期待されたが、再び前年同月割れに転じた。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、エルニーニョ現象の影響が強まり、降雨量が減少したことで、牧草の生育不順となったことを挙げている。また、ニュージーランド国立水・大気研究所(NIWA)によると、主要生乳生産地帯である北島のノースランド地方および南島の大部分では、24年3月下旬まで平年より乾燥した気候が予想されており、今後の生乳生産への影響が懸念される。
24年1月の乳製品輸出量、全粉乳と脱脂粉乳が大幅増
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年1月の乳製品輸出量は、チーズを除く主要3品目で前年同月を上回った(表、図2)。品目別では、全粉乳および脱脂粉乳が最大の輸出先である中国やマレーシア向けの伸びからそれぞれ大幅に増加した。また、バターおよびバターオイルは主要輸出先である豪州向けが減少したものの、最大の輸出先である中国向けの大幅な増加から、かなりの程度増加した。一方、チーズは最大の輸出先である中国向けをはじめ、主要輸出先のマレーシア、日本、韓国向けがそれぞれ減少したことでかなりの程度減少した。
24年2月中旬のGDT価格、脱脂粉乳とバターが続伸
2024年2月20日開催のGDT(注1)平均取引価格は、脱脂粉乳とバターが前回開催(同年2月6日)時の価格を上回り、特にバターはアジアからの引き合いが強まったことで1トン当たり6526米ドル(98万9798円:1米ドル=151.67円(注2)、前回比0.2%高)と22年4月以来の高値となった(図3)。また、全乳製品の平均取引価格は同3664米ドル(55万5719円、同2.6%高)と依然として上昇基調にある。このような中で、NZ乳業最大手のフォンテラ社は24年2月12日、23/24年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均0.3NZドル(28円:1NZドル=93.76円(注2))引き上げ、同7.8NZドル(731円)にすると発表した(注4)。引き上げの理由について同社のハレル最高経営責任者は、最近のGDT価格の上昇を踏まえたものと発表した。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年2月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳タンパク質。
(調査情報部 工藤 理帆)