24年1月の牛総飼養頭数は前年比2.1%減
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2024年1月1日時点の牛の総飼養頭数は1106万頭(前年同月比2.1%減)とわずかに減少した(表1)。西部の主要肉牛生産地域を中心とした干ばつの影響により、総飼養頭数は1989年以来の最低水準となっている。内訳を見ると、繁殖雌牛(肉用牛)が同2.4%減、未経産牛(肉用牛)が同5.6%減となり、乳用牛に比べて肉用牛頭数の減少が顕著になっている。また、子牛も同3.0%減となっていることから、短期的な増頭は見込めず、牛肉生産への影響が長期化すると予測される。
米国農務省海外局(USDA/FAS)によると、23年(1〜12月)の牛と畜頭数は358万頭(同4.0%減)となり、同年の牛肉生産量は134万トン(同5.1%減)とやや減少した。24年の牛肉生産量についてUSDA/FASは、今後も飼養頭数の減少が見込まれる中で、同4.9%減の127万5000トンと予測している。
24年2月の肥育牛価格、前年同月比14.7%高
CanFax(注1)によると、2024年2月の肥育牛価格は、100ポンド当たり224.39カナダドル(1キログラム当たり561円:1カナダドル=113.41円(注2)、前年同月比14.7%高)とかなり大きく上昇した(図)。北米での堅調な牛肉需要と肥育牛供給の減少を背景に、肥育牛価格は引き続き高水準で推移している。
(注1)カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の市況分析部門。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年3月末TTS相場。
23年の牛肉輸出量、前年比2.4%減
カナダ農業・農産食料省(AAFC)によると、2023年(1〜12月)の牛肉輸出量は49万8917トン(前年比2.4%減)とわずかに減少した(表2)。一方、輸出額は、50億2233万カナダドル(5695億8222万円、同7.4%増)とかなりの程度増加した。主要輸出先別に見ると、最大の輸出先である米国向けは、37万5177トン(同3.9%増)とやや増加した。また、輸出先第3位のメキシコ向けは堅調な需要とペソ高の為替相場を背景に、3万2312トン(同21.8%増)と大幅に増加した。一方、アジア諸国向けについては、需要の減少から日本向けは4万5374トン(同33.1%減)、韓国向けは1万4220トン(同25.0%減)、ベトナム向けは1万2241トン(同22.3%減)とそれぞれ大幅に減少した。なお、中国向けは、21年末のカナダ国内での非定型BSEの報告以降、輸出停止が続いている。
24年の牛肉輸出量についてUSDA/FASは、生産量の減少が見込まれる中で、前年をやや下回ると予測している。
(調査情報部 伊藤 瑞基)