24年2月の乳価、前年同月比安も3カ月ぶりの上昇
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2024年2月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり20.6米ドル(1キログラム当たり69円:1米ドル=152.41円(注1)、前年同月比4.6%安)とやや下回ったが、前月比では3カ月ぶりの上昇に転じた(図1)。また、同月の酪農マージン(注2)は、乳価の上昇と飼料費の下落により、同9.44米ドル(同32円、同52.5%増)と大幅に増加した。23年8月以降、乳価がおおむね上昇基調にある中で、トウモロコシや大豆かすなどの飼料費が下落していることから、酪農マージンは堅調に推移している。USDAによると、収益性の改善から24年下半期(7〜12月)の乳牛飼養頭数は拡大すると予測されている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2024年3月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補塡が発動される。
24年2月の生乳生産量、前年同月比2.2%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年2月の乳用経産牛飼養頭数は933万頭(前年同月比0.9%減)とわずかに減少した。一方、同月の生乳生産量は、1頭当たりの乳量の増加(同3.1%増)で821万2000トン(同2.2%増)とわずかに増加した(図2)。
24年1月の乳製品輸出量、脱脂粉乳が大幅減もチーズは好調
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年1月の乳製品輸出量は乳脂肪分ベースで前年同月比5.2%減、無脂肪ベースで同5.4%減とそれぞれやや減少した。品目別に見ると、脱脂粉乳がメキシコや東南アジア諸国からの需要減により、5万8600トン(前年同月比14.0%減)とかなり大きく減少した(表)。一方、チーズはメキシコや中南米地域からの需要増により、3万8300トン(同12.7%増)とかなり大きく増加した。
米国乳製品輸出協会(USDEC)によると、主要輸出先での堅調なピザ消費などが、主要輸出製品であるシュレッドチーズなどの輸出を伸ばす要因とされている。そのほか、日本や中国といったアジア諸国からの需要増などにより、ホエイは1万3500トン(同2.7%増)とわずかに、WPC(タンパク質濃縮ホエイパウダー)は1万1600トン(同3.9%増)とやや増加した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)