しかし、都城市は歴史的に観光資源の訴求力が弱いとも言われてきました。九州屈指の規模を誇り、国の天然記念物である大規模な「関之尾甌穴群」や、日本の滝100選にも選ばれている「関之尾滝」(写真2)。日本一星空の美しい町に過去7回選ばれた高崎町の高台にある「たちばな天文台」(写真3)。動物との触れ合い体験やソーセージなどの手作り体験が楽しめ、四季折々の花が美しく咲き誇る観光牧場「高千穂牧場」など、さまざまな観光資源があるのですが、地理的に最寄りの空港から距離がある上に、近隣の自治体の観光資源と比較して優位性を打ち出し、観光客を呼び込むことに苦慮していたのも事実です。
このような状況下で、私たちは、都城市の知名度向上に最も寄与している施策である「ふるさと納税」にヒントを得て、観光に新しい要素を取り込むこととしました。
前述の通り、都城市は農業産出額が日本一であるため、さまざまな特産品があります。そこで、ふるさと納税を池田市長の号令のもと、平成26年に対外的PRのツールとしてリニューアルし、1年目はあえて返礼品を「肉」と「焼酎」のみに絞る大胆な施策を実行しました(写真4)。
都城市の畜産産出額が日本一であること、そして、黒霧島の銘柄で有名な焼酎売上高日本一の霧島酒造株式会社が同市にあることから、「日本一の肉と焼酎のふるさと」と銘打って、市の魅力を全国に発信しました。
結果としてこの戦略は大成功を収め、平成27、28年度、そして令和2、4年度と、4回もの受入額日本一に輝くとともに、4年度の受入額は195億円に達しました。
このふるさと納税の大躍進は、私たち職員にとって目からうろこでした。肉と焼酎で他自治体との決定的な差別化を生むことができたことから、「肉と焼酎」を都城ブランドの地域資源と位置付けます。この取り組みにより、都城の知名度が格段に向上することができたことから、対外的なPRの一つに「選んで来てもらう」取り組みを加えることとしました。これにより平成29年には、「肉と焼酎のふるさと都城」ならではのおもてなしで付加価値を高めることにより、観光誘客や輸出の拡大を図ろうとミートツーリズム推進委員会を立ち上げ、観光客が都城市を訪れ、「本物の」肉と焼酎に出会えるミートツーリズムを開始しました(写真5)。ミートには、meat「肉と焼酎」にmeet「出会うこと」ができるとの意味を込めています。