キャンペーンの実施に当たり、消費者に普段なじみのないスキムミルクを手に取って購入し、消費してもらうには、なぜスキムミルクなのかということについて納得していただく必要があります。また、PR素材に目を留めてもらう必要もあります。
このため、まずはスキムミルクの特長を調べることから始めたところ、(1)1年間常温保存が可能(2)軽量な割にタンパク質やカルシウムなどの栄養が豊富(3)水に溶いて低脂肪乳のように飲める―といった点から、スキムミルクの特長は防災備品として優れていることが分かってきました。防災の観点ならば、防災週間に合わせてキャンペーンを打ち出すことができます。また、自治体や団体・企業などにおいて、防災備品としてスキムミルクを採用してもらうことも期待できます。
こうして防災の観点からPRチラシを作りはじめましたが、まず、なぜ他の保存食ではなくスキムミルクなのかという問いに答えられるよう、軽くてタンパク質やカルシウムが豊富という点を強調するとともに、缶詰に対する優位性を示す絵も入れることにしました。
また、「北海道酪農応援!」と銘打つ以上、母牛が子牛を生むと毎日搾乳し続ける必要があることや、バターと同時に脱脂粉乳ができることも説明しなければなりません。きちんと内容を説明できて、分かりやすく、できるだけ少ない文字数で表現するのは大変難しい課題でした。
消費者に親しんでもらえるよう、生乳ではなくミルクと標記することにした他、注目してもらえるよう、役所が作成するチラシとしては冒険を試み、「そのリュック、重くないですか?」という問いかけを行うことにするなど、事務所内部で議論しながらチラシの文面の改善を続けました。
うれしい誤算だったのは、文面が固まって若手職員にチラシの作成を依頼したところ、イラストを描くことのできる職員がいて、魅力的な牛のキャラクターを入れたチラシにしてくれたことです(図1)。
キャンペーンの実施に当たっては、企画の段階から関係の深い業界団体に説明を行い、そこでいただいたアドバイスも反映させながら企画を組み立てていきました。
また、農政事務所自らも積極的にイベントに出展し、このチラシを基に直接PRを行ってまいりました(写真)。