全国の生乳生産量、2カ月連続で前年同月を上回る
令和6年3月の生乳生産量は、65万509トン(前年同月比1.5%増)と前年同月をわずかに上回り、2カ月連続で前年同月を上回った(図1)。地域別に見ると、北海道は36万7300トン(同3.5%増)と前年同月を3カ月連続で上回り、都府県は28万3200トン(同1.0%減)と前年同月をわずかに下回った。
3月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは、30万7624トン(同2.9%減)と前年同月をわずかに下回った。このうち、業務用向けについては、2万5368トン(同6.3%減)と前年同月をかなりの程度下回った。
乳製品向けは、33万8964トン(同5.8%増)と前年同月をやや上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは、6万1551トン(同1.7%減)と前年同月をわずかに下回り、チーズ向けは、4万784トン(同1.4%増)と前年同月をわずかに上回った。脱脂粉乳・バター等向けは、18万7152トン(同9.7%増)と前年同月をかなりの程度上回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
3月の牛乳等の生産量を見ると、飲用牛乳等のうち、牛乳は24万4800キロリットル(同2.8%減)と前年同月をわずかに下回った。成分調整牛乳は1万8100キロリットル(同10.0%減)と前年同月をかなりの程度下回り、加工乳は、1万3100キロリットル(同9.2%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
乳製品のうち、クリームは1万493トン(同0.1%増)と前年同月並みであった。
3月のバター生産量、前年同月比12.0%増
3月のバターの生産量は、7763トン(前年同月比12.0%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図2)。出回り量は7375トン(同23.5%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農畜産業振興機構調べ)。3月末の在庫量は、2万4425トン(同15.3%減)と前年同月をかなり大きく下回ったが、3カ月連続で前月を上回った(図3)。
3月末の脱脂粉乳在庫量、前年同月比26.0%減
3月の脱脂粉乳の生産量は、1万6165トン(前年同月比11.1%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図4)。出回り量は2万271トン(同27.7%減)と前年同月をかなり大きく下回った(農畜産業振興機構調べ)。3月末の在庫量は、4万7749トン(同26.0%減)と前年同月を大幅に下回った(図5)。
令和5年度の生乳生産量、昨年度に引き続き減産
令和5年度の生乳生産量は732万7996トン(前年度比2.7%減)と前年度をわずかに下回り、2年連続の減産となった。地域別に見ると、北海道は417万8866トン(同1.8%減)、都府県は314万9130トン(同4.0%減)とともに2年連続で前年度を下回った(図6)。
なお、全国の生乳生産量に占める北海道のシェアは57.0%、都府県は43.0%となり、シェアの差は拡大基調で推移している。
5年度の生乳処理量のうち牛乳等向けは、384万424トン(同2.6%減)と前年度をわずかに下回ったが、これは乳価改定に伴う製品価格の値上げ等が要因と考えられる。
牛乳等の生産量については、飲用牛乳等のうち、牛乳は308万3200キロリットル(同2.1%減)と前年度をわずかに下回った。成分調整牛乳は23万2800キロリットル(同7.0%減)と前年度をかなりの程度下回り、加工乳は、14万5900キロリットル(同8.2%増)と前年度をかなりの程度上回った。これは、牛乳及び成分調整牛乳から比較的安価な加工乳へ需要がシフトしたことなどが影響していると考えられる。
(酪農乳業部 橋 沙織)