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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2024年6月号

肥育牛出荷頭数の減少により、牛肉生産量はかなり大きく減少

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24年3月の牛肉生産量は前年同月比12.3%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年3月の牛と畜頭数は、246万1000頭(前年同月比14.7%減)とかなり大きく減少した。この結果、同月の牛肉生産量も95万7000トン(同12.3%減)とかなり大きく減少した(図1)。USDAは、出荷頭数が減少しており、肥育牛のと畜ペースが昨年より遅れているとしている。また、今後経産牛の価格上昇に伴い、24年後半に向けて出荷が増加すると予測している。さらに、と畜ペースの遅れにより肥育期間が長期化し、枝肉重量の増加も見込まれることで、USDAは、24年の牛肉生産量予測を前月から5万9000トン上方修正し、1200万トン(前年比1.9%減)とした。
 牛群の再構築が遅れている中で、24年3月のフィードロット導入頭数は174万6000頭(前年同月比12.3%減)、出荷頭数は170万6000頭(同13.7%減)といずれもかなり大きく減少した。また、同年4月1日時点のフィードロット飼養頭数は、と畜ペースの遅れから1182万1000頭(同1.5%増)とわずかに増加した(図2)。



 
 
24年3月の肥育牛価格は高値が継続
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年3月の肥育牛価格は100ポンド当たり186.8米ドル(1キログラム当たり650円:1米ドル=157.90円(注)、前年同月比12.2%高)とかなり大きく上昇した(図3)。これは前述した肥育牛出荷頭数の減少を背景に供給がひっ迫していることが要因とされている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。

 
24年2月の牛肉輸出量は前年同月比2.6%減、輸入量は同23.8%増
 USDA/ERSによると、2024年2月の牛肉輸出量は11万732トン(前年同月比2.6%減)とわずかに減少した(表1)。豪州産との競合や、ドル高で推移する為替相場の影響によるアジア地域からの需要減が要因とみられる。輸出先別に見ると、日本向けは2万4110トン(同15.8%減)、続く韓国向けは2万2100トン(同8.5%減)、中国向けは1万8614トン(同3.2%減)といずれも減少した。一方、メキシコ向けは堅調な需要に加え、通貨が米ドルに対しペソ高で推移していることから、1万3703トン(同24.5%増)と大幅に増加した。
 同月の牛肉輸入量は、国内生産量が減少する中、堅調な需要および低関税枠の早期消化を背景に15万9265トン(同23.8%増)と大幅に増加した(表2)。USDAによれば、2月の牛肉輸入量としては過去最高とされている。輸入先別に見ると、最大の輸入先であるカナダは3万8774トン(同9.5%増)、牛肉生産が好調な豪州は3万490トン(同90.9%増)、ブラジルは2万8040トン(同27.6%増)といずれも増加した。



 
 
(調査情報部 中島 勝紘)