畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 24年3月の牛肉輸出、米国のひき肉需要増が牽引けんいん

海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2024年6月号

24年3月の牛肉輸出、米国のひき肉需要増が牽引けんいん

印刷ページ
24年4月の肉牛価格、需給緩和で下落も今後は上昇の見込み
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2024年4月10日に1キログラム当たり626豪セント(657円:1豪ドル=104.96円(注))まで上昇した後、下落傾向で推移し、直近4月24日は同583豪セント(612円)となった(図1)。現地報道によると、4月上旬はクイーンズランド(QLD)州中部および南部での多雨により、牛の家畜市場への出荷が困難となったことで同価格は上昇したが、その後はイースター休暇に伴う食肉処理施設の休業に伴い、牛の家畜市場への供給が過多となったことにより、下落に転じたとされている。
 業界の市場分析者によると、EYCI価格は24年末までに同700〜750豪セント(735〜787円)まで上昇し、米国の牛肉供給量減少などに伴う世界的な需給ひっ迫を背景に、今後2年間で現在の2倍程度の水準になると予測されている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。

 
24年4月の週間成牛と畜頭数、祝日休業で一時下落も13万頭以上に反発
 2024年4月の週間成牛と畜頭数は、イースター休暇に伴う食肉加工施設の休業などで、一時10万頭以下となったが、その後は反発し、同月第3週時点で13万4475頭と先月に引き続き高水準で推移した(図2)。現地報道によると、4月は祝日が多いことから、食肉加工業者がと畜頭数を増やして冷凍庫に牛肉を多数保管しようとする傾向があるとされる。また、輸出市場におけるひき肉相場の上昇に伴う雌牛のと畜頭数の増加や、QLD州の一部食肉加工施設の稼働日数増加などが、堅調な成牛と畜頭数を下支えしているとされている。業界の市場分析者によると、現在豪州の食肉処理施設は、最大で週間13万8000頭のと畜を可能としているが、今後の需給見込みに鑑みると、同14万2000頭のと畜に必要な労働力と稼働日数の増加に対応すべきであると指摘されている。

 
24年3月の牛肉輸出量、再び米国向けが最大輸出先に
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2024年3月の牛肉輸出量は10万6573トン(前年同月比7.7%増)と、かなりの程度増加した(表)。
 同年2月は日本向けが最大輸出先となったが、3月は米国向けが再び最大輸出先となり、同国向け輸出量は2万6484トン(前年同月比53.0%増)と大幅に増加した。現地報道によると、米国内の牛肉供給量減少に伴い、加工用牛肉(90CL:赤身率90%のひき肉用)の不足から、豪州産へのニーズが高まっているとされている。
 一方で、輸出量第3位の中国向けは、国内の景気後退などを背景に1万6484トン(同17.4%減)と大幅に減少しているほか、韓国向けは、同国内で韓牛消費を優先する政策が実施されていることなどを背景に、1万4946トン(同25.0%減)と大幅に減少した。

 
(調査情報部 国際調査グループ)