24年3月の豚飼養頭数は前年同月比0.6%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年3月1日時点の豚飼養頭数は7457万頭(前年同月比0.6%増)とわずかに増加した(表1)。内訳を見ると、繁殖豚頭数は602万頭(同2.1%減)とわずかに減少したが、肥育豚頭数は6856万頭(同0.8%増)とわずかに増加した。また、1腹当たり産子数は育種改良や飼養管理技術の向上などから増加傾向にあり、23年12月〜24年2月期では11.53頭(前年同期比4.6%増)とやや増加した。同期の産子数は、分娩母豚頭数が減少しながらも、1頭当たり産子数の増加により、3315万頭(同1.9%増)とわずかに増加した。
USDA/NASSによると、24年3月の豚肉生産量は、と畜頭数の減少により102万600トン(前年同月比9.6%減)とかなりの程度減少した(図1)。24年の豚肉生産量についてUSDAは、23年12月〜24年2月期にかけての産子数の増加や、飼料価格の下落に伴う枝肉重量の増加見込みを踏まえ、前月予測から8万2000トン上方修正の1274万1400トン(前年比2.9%増)としている。
24年3月の豚肉卸売価格、前年同月比11.2%高
USDA/NASSによると、2024年3月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー(注1))は100ポンド当たり93.12米ドル(1キログラム当たり324円:1米ドル=157.90円(注2)、前年同月比11.2%高)とかなり大きく上昇した(図2)。これは、米国内の牛肉価格高騰に伴う代替需要の拡大や、堅調な輸出需要を反映したものとされている。また、同月の肥育豚価格も、同59.84米ドル(同208円、同20.0%高)と大幅に上昇した。
(注1)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構築した卸売指標価格。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。
24年1〜2月の豚肉輸出量、前年同期比11.4%増
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年2月の豚肉輸出量は26万9200トン(前年同月比17.7%増)と大幅に増加し、同年1〜2月の累計では53万5800トン(前年同期比11.4%増)とかなり大きく増加した(表2)。ラテンアメリカ地域での旺盛な需要が、好調な豚肉輸出を牽引している。地域別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは20万6000トン(同11.4%増)とかなり大きく、コロンビア向けが2万8700トン(同57.8%増)と大幅に増加した。また、アジア地域は韓国向けが5万8400トン(同59.8%増)と大幅に増加し、日本向けは円安下にありながらも、7万9700トン(同0.2%減)と前年並みを維持した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)