豚肉価格は引き続き前年同期比を下回って推移

24年3月末の繁殖雌豚頭数は前年同月比7.3％減、適切な水準に近づく

　中国農業農村部によると、2024年3月末時点の繁殖雌豚頭数は3992万頭（前年同月比7.3％減）と前年同月をかなりの程度下回った（図1）。同頭数は、同部が最適な水準としている3900万頭から2％程度上回っている状況にあるが、23年3月以降は減少傾向にあり、徐々にこの水準に近づいている。

24年3月の豚と畜頭数、前年同月比4.6％減

　2024年3月の豚と畜頭数は、2545万頭（前年同月比4.6％減）と前年同月をやや下回り、同年1～3月の豚肉生産量も1583万トン（前年同期比0.4％減）と前年同期をわずかに下回った（図2）。中国農業農村部によると、繁殖母豚飼養頭数の減少に伴う肥育豚飼養頭数の落ち込みが、と畜頭数の減少につながったとされている。

24年3月の豚肉価格は前月比2.3％安

　2024年3月の豚肉価格は、前月比2.3％安の1キログラム当たり24.9元（546円：1元＝21.93円^（注）、前年同月比5.6％安）となった（図3）。中国農業農村部によると、末端の豚肉消費は春節需要が一段落したことで、豚肉価格は低い水準にあるとされている。今後の見通しとして同部は、繁殖雌豚頭数の減少や冷凍豚肉在庫の減少から、市場への供給量が減り、他方でメーデーの連休が末端消費に一定の追い風となることから、全体としては、豚肉価格は5月ごろには下げ止まり、安定すると予想している。

一方、24年3月の子豚価格は、同13.8％高の同32.1元（704円、同14.9％安）となった。現地報道によると、3月に入り気温が上昇したことで子豚の生存率が向上したことに加え、飼料価格の下落により肥育コストが低下したことで、肥育農家のもと豚補充意欲が高まったためとみられている。

_{（注）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。}

24年1～3月の豚肉輸入量は前年同期比52.1％減

　2024年1～3月の豚肉輸入量は25万3132トン（前年同期比52.1％減）となり、主要輸入先であるブラジルを始めいずれも前年同期を大幅に下回った（表）。現地関係者によると、中国国内の生体豚供給量がアフリカ豚熱（ASF）の発生前を上回り、豚肉需要の継続的な低迷から豚肉価格が低水準にあるため、輸入豚肉の価格優位性が低くなったことが豚肉輸入量の減少要因とされている。

（調査情報部　田中　美宇）