24年2月の生乳生産量、10カ月連続で前年同月を上回る
デイリー・オーストラリア(DA)が4月に公表したMilk Production Reportsによると、2024年2月の生乳生産量は、前年同月比8.7%増の60万1778キロリットル(61万9831トン相当)となり、10カ月連続で前年同月を上回った(図1)。この結果、23/24年度における7月〜翌2月までの累計生乳生産量は、前年同期比3.1%増の594万9032万キロリットル(612万7503トン相当)となった。
DAが3月に公表した「豪州酪農業界の今後の展望に関する報告」(以下「展望報告」という)によると、23/24年度の生乳生産量は、前年度を1%程度上回ると見込まれている(注)。この理由についてDAは、(1)エルニーニョ現象の発生により乾燥気候が予想されていた中、想定を上回る降雨を記録し、23/24年度期間中の牧草生育に十分な水の確保ができたこと(2)これによる水価格の低下に加え、尿素などの窒素肥料の価格低下が今後の牧草生産を下支えすること―を挙げている。
(注)同資料中に数値の記載はないが、仮に前年度を1%上回った場合の生乳生産量は約820万キロリットル(845万トン相当)となる。
24年2月の乳製品輸出量、主要乳製品4品目すべてで増加
DAが発表した2024年2月の主要乳製品4品目の輸出量は、全品目で前年同月を上回った(表、図2)。
脱脂粉乳は、中国向けが大きく減少したものの、インドネシアやベトナムなど東南アジア向けが大きく増加したことを受け、前年同月比で大幅に増加した。全粉乳は、アラブ首長国連邦やインドネシア向けが大きく減少したものの、タイ向けが大きく増加し、ベトナムやシンガポール向けも堅調に推移したことを受け、かなり大きく増加した。バターおよびバターオイルは、韓国やタイを始めとしたアジア諸国向けが低調であったものの、米国や中国向けが好調であったことを受け、大幅に増加した。チーズは、輸出先第1位の日本向けを始め、同第2位の中国やマレーシア向けも好調であったことを受け、大幅に増加した。
DAの展望報告によると、乳製品輸出量が増加した理由は、水不足によるパナマ運河の運航制限や紅海での緊張の高まりによるスエズ運河の回避が、船舶の遅延やコンテナのひっ迫、運賃の高騰を引き起こしており、これらの影響を抑えるため、アジアなど主要市場の乳製品輸入業者の一部がオセアニアを含む南半球産の乳製品輸入に切り替えているためなどとしている。
(調査情報部 平山 宗幸)