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海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2024年6月号

生乳生産量、エルニーニョ現象による乾燥気候の影響で減少

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24年3月の生乳生産量、乾燥気候の影響で前年同月比3.5%減
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2024年3月の生乳生産量は175万2000トン(前年同月比3.5%減)とやや減少し、3月単月としては直近3年間で最少となった(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、エルニーニョ現象の影響を受けて、平年よりも乾燥気候に見舞われたことで、牧草の生育環境が悪化したことを挙げている。特に南島では、記録的な乾燥による水量制限などから、かんがいの利用が制限されたとしている。NZXによると、牧草の生育不良の影響を補うべく、補助飼料の給餌量を増やす動きもみられるが、平年よりも2〜3週間早い乾乳を進めている生産者もいるとされている。

 
24年3月の乳製品輸出量、全粉乳が前年同月比21.3%増
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年3月の乳製品輸出量は、チーズを除く主要3品目が前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳や全粉乳は最大の輸出先である中国向けの伸びに牽引けんいんされ、いずれも増加した。また、バターおよびバターオイルは最大の輸出先の中国向けが増加したものの、主要輸出先の豪州やマレーシア向けが減少したことでわずかな増加にとどまった。一方、チーズは最大の輸出先である中国向けをはじめ、豪州、日本、韓国向けがそれそれ減少したことでかなり大きく減少した。



 
 
24年4月中旬のGDT平均価格、チーズが8.4%安
 2024年4月16日開催のGDT(注1)平均取引価格は、チーズが中東などからの引き合いが弱まったことで、前回開催時(同年4月2日)から8.4%安とかなりの程度下落したものの、その他の主要3品目は小幅な動きとなった(図3)。この結果、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり3590米ドル(56万6861円:1米ドル=157.90円(注2)、前回比0.9%高)とわずかな上昇にとどまった。NZXは、中東の乳製品需要が減少傾向にあるとし、中東情勢の激化とそれに伴う購買への影響を引き続き注視する必要があるとしている。
 
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末TTS相場。

 
(調査情報部 工藤 理帆)