(1)多良間村
ア 肉用牛生産支援等(令和4年度)
配合飼料価格の高騰に伴い、COVID−19に係る対策支援を組み合わせながら、令和4年度に村独自で配合飼料価格の高騰分を補てんしている。また、JAおきなわと連携して、主に九州地方を中心に購買者の誘致を実施している。
村が運営する堆肥センターでは、1年間で最大4000トンの堆肥が生産可能であり、1トン当たり2700円で販売している。また、優良繁殖雌牛を自家保留した場合に1頭当たり5万円以内、特定系統(福之姫)の母牛を自家保留した場合、同10万円の補助金を交付している。
イ 賃貸型の畜舎(団地牛舎)について
沖縄県畜産振興対策事業(沖縄離島型畜産活性化事業)により、多良間村は団地牛舎を整備した(写真3)。
母牛10頭ごとに2部屋、15頭ごとに2部屋のパドッグ畜舎(注4)、堆肥舎4カ所にホイールローダー1台を備えている(写真4)。令和3年11月より利用を開始し、5年間を目途に賃貸している。目的としては、高齢化による農家戸数の減少と取引頭数の減少を防ぐためである。
現在、新規就農者2戸、規模拡大志向の農家2戸が団地牛舎を利用しており、畜舎に空きがない状況である。施設利用料は、15頭規模の畜舎で1カ月当たり1万5000円、10頭規模の畜舎で同1万円となっており、賃貸利用により、一般的に1平方メートル当たり約20万円弱の初期投資を節約できるという。書類審査や面談などを基に、農地と畜舎の確保に重きを置いて、村が利用者を厳正に審査し、利用者を選定している(図4)。
施設内の家畜防疫対策としては、石灰の散布を徹底することで、今までに疾病は発生していない。
(注4)牛の運動やストレス解消のために設けられた放牧地を併設した畜舎
(2)宮古島市
ア 肉用牛生産支援等(令和4年度)
優良繁殖雌牛を自家保留した場合に1頭当たり5万円以内、分娩監視装置等を導入する場合は購入価格の2分の1以内の補助金が交付される。経産牛の再肥育に対して、と畜料金の2分の1以内が補助され、排せつ物管理のために堆肥盤を設置すると1基当たり25万円の補助金が交付される。
イ 賃貸型の牛舎(団地牛舎)について
沖縄県畜産振興対策事業(沖縄離島型畜産活性化事業)により、宮古島市は団地牛舎を整備した。
母牛10頭ごとに4部屋、5頭ごとに2部屋のつなぎ牛舎(写真5)と堆肥舎1カ所を備えている。令和2年12月から利用を開始し、5年間を目途に貸し付けをし、現在6戸が畜舎を借りて経営している。農家の減少を食い止めるため、初期投資の負担を軽減し地域の畜産振興を図ることを目的としている。現時点では新規参入ではなく、規模拡大を目的とした既存の生産者の利用が主となっている。牛舎の利用料は、5頭規模の畜舎で1カ月当たり6000円、10頭規模の畜舎で同1万2000円となっている。書類審査や面談などを基に、農地と畜舎の確保に重きを置いて、市が利用者を厳正に審査し、利用者を選定している。