全国の生乳生産量、前年同月比1.1%増
令和6年4月の生乳生産量は、63万5017トン(前年同月比1.1%増)と前年同月をわずかに上回り、3カ月連続で前年同月を上回った(図1)。地域別に見ると、北海道は35万5575トン(同1.9%増)と前年同月を4カ月連続で上回り、都府県は27万9442トン(同0.0%)と前年同月並みとなった。
4月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは、31万982トン(同1.7%減)と前年同月をわずかに下回った。このうち、業務用向けについては、2万4366トン(同2.6%減)と前年同月をわずかに下回った。
乳製品向けは、32万107トン(同3.9%増)と前年同月をやや上回り、2カ月連続で牛乳等向けを上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは、5万9789トン(同1.9%増)と前年同月をわずかに上回り、チーズ向けは、4万1トン(同1.7%減)と前年同月をわずかに下回った。脱脂粉乳・バター等向けは、17万5623トン(同7.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
4月の牛乳等の生産量を見ると、飲用牛乳等のうち、牛乳は24万9982キロリットル(同1.2%減)と前年同月をわずかに下回った。成分調整牛乳は1万7988キロリットル(同8.2%減)と前年同月をかなりの程度下回り、加工乳は1万2130キロリットル(同2.5%増)と前年同月をわずかに上回った。
乳製品のうち、クリームは1万190トン(同5.2%増)と前年同月をやや上回った。
4月のバター生産量、前年同月比10.8%増
4月のバターの生産量は、7288トン(前年同月比10.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図2)。出回り量は6390トン(同18.0%減)と前年同月を大幅に下回った(農畜産業振興機構調べ)。4月末の在庫量は、2万5945トン(同10.7%減)と前年同月をかなりの程度下回ったが、4カ月連続で前月を上回った(図3)。
4月末の脱脂粉乳在庫量、前年同月比21.9%減
4月の脱脂粉乳の生産量は、1万4900トン(前年同月比9.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図4)。出回り量は1万1684トン(同9.4%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農畜産業振興機構調べ)。4月末の在庫量は、5万996トン(同21.9%減)と前年同月を大幅に下回ったが、4カ月ぶりに前月を上回った(図5)。
6年度の生乳生産量、前年度比1.2%増の見込み
一般社団法人Jミルクは令和6年5月31日、「2024年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」を公表した(表)。これによると、6年度の生乳生産量は741万3000トン(前年度比1.2%増)と前年をわずかに上回る見込みである。地域別に見ると、北海道では生産抑制を避ける方針が示されたこともあり、427万9000トン(同2.5%増)と3年ぶりに増産となる見込みとなった。一方で、都府県では313万4000トン(同0.5%減)と3年連続で減産となる見込みとなっている。
牛乳類の生産量の見通しは、飲用需要の低迷などにより、445万5000キロリットル(同1.5%減)となっており、内訳を見ると、牛乳は306万1000キロリットル(同0.7%減)、加工乳は15万3000キロリットル(同4.8%増)、成分調整牛乳は21万7000キロリットル(同6.9%減)、乳飲料は102万4000キロリットル(同3.5%減)、はっ酵乳は97万3000キロリットル(同1.6%減)となっている。
乳製品向け処理量は、351万3000トン(同4.0%増)と前年をやや上回る見込みとなった。品目別に見ると、脱脂粉乳・バター等向けは184万7000トン(同7.0%増)、チーズ向けは43万8000トン(同2.3%増)、生クリーム等向けは122万9000トン(同0.4%増)といずれも前年度を上回る見込みとなった。
脱脂粉乳の期末在庫量は、飲用需要の低迷などにより、在庫対策を除いた場合は8万4400トン(同76.7%増)、在庫対策を考慮した場合であっても6万5100トン(同36.4%増)と前年度を大幅に上回る見込みである。一方、バターの期末在庫量は2万4800トン(同1.7%増)と前年度をわずかに上回る見込みであるが、単年度で見ると需要量が供給量を上回る状況となっている。
チーズ購入時に国産を意識する消費者、3割強
農林水産省は令和6年5月10日に「国産チーズの消費拡大に関する意識・意向調査結果」を公表した。本調査は、6年1月中旬から2月中旬にかけて実施され、消費者2000人およびチーズ製造事業者151経営体から回答を得た。
同調査のうち消費者を対象とした調査結果によると、チーズ購入時に国産であることへの意識について、全体の32.9%が「ラベルや食品表示を見て国産のチーズを購入するように意識している」と回答する一方で、「生産国は意識していない」と回答した割合は59.7%と全体の半数を上回る結果となった。
国産チーズを購入する理由については、「安心感があるから」と回答した割合が80.5%で最も多く、次いで「美味しいから」が48.2%、「添加物が少ないから」が23.0%、「価格が安いから」が22.5%となった。国産チーズを購入する・食べる機会を増やすために重要なものについては、全体の67.6%が「おいしさ」と回答し、次いで「低価格」が52.8%、「入手しやすさ」が30.9%、「添加物の少なさ」が24.8%となった。
(酪農乳業部 山下 侑真)