24年1〜3月の豚肉生産量は前年同期比1.9%減
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2024年1〜3月の豚肉生産量は、14万1140トン(前年同期比1.9%減)と前年同期をわずかに下回った(図1)。また、と畜頭数は、138万頭(同0.2%減)と前年同期並みとなった。
23年の豚肉生産量は、58万2652トン(前年比1.1%増)と前年をわずかに上回った。同国の養豚は、飼料の多くを輸入に依存していることから、その価格動向が豚肉生産に影響している。22年は穀物飼料価格が高く、米ドルに対するチリペソ安を背景に生産減となったが、23年は穀物飼料価格が低下するとともに、米ドルに対するチリペソ安が落ち着いたことから豚肉生産量の回復につながったとみられる。
24年1〜3月の豚肉輸出量は中国向けの減少により前年同期比14.1%減
2024年1〜3月の豚肉輸出量は、4万9243トン(前年同期比14.1%減)と前年同期をかなり大きく下回った(図2)。これは、最大の輸出相手先である中国向けが、1万8545トン(同33.8%減)と大幅に減少したためである。この結果、輸出量全体に占める中国向け比率は、前年同期から11.1ポイント以上低下して37.7%となった。中国に次ぐ輸出先である韓国向けは9395トン(同15.6%増)、日本向けは9242トン(同1.8%増)となっており、主要3カ国合計の輸出比率は75.5%となった。
23年の豚肉輸出量は、20万2599トン(前年比14.5%増)と前年をかなり大きく上回った。これは、中国向けが、8万2741トン(同10.6%増)と22年の大幅な落ち込み(21年比4割減)から回復に転じたほか、これに次ぐ日本向けが大幅に増加(同28.4%増)したためである。これに加え、コスタリカやペルーなどの中南米向け、オランダ、フィリピン向けが大幅に増加した。チリでは23年2月21日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」が発効し、同国は10カ国目の協定締結国となった。チリ養豚協会(ASPROCER)は、CPTPPにより日本市場におけるチリ産豚肉の拡大につながったとしている。
24年4月の肉豚生産者販売価格は前年同月をやや下回って推移
2024年4月の肉豚生産者販売価格は、前年同月比4.8%安の1キログラム当たり0.80米ドル(126円:1米ドル=157.74円(注))と前年同月をやや下回った(図3)。肉豚生産者販売価格は、23年12月〜24年3月の間に半値以下(55.1%安)に急落した。これは、中国向けを中心に海外需要が低迷したことなどが影響したとみられる。
近年の肉豚生産者販売価格の動向については、22年に国内経済の減速による豚肉需要の低迷や中国向け豚肉輸出の大幅な減少により大幅に下落したが、23年は海外需要の回復に伴い前年の価格を4割程度上回った。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」5月末TTS相場。
(調査情報部 井田 俊二)