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海外需給【鶏肉/米国】畜産の情報 2024年7月号

24年の1〜4月の鶏肉生産量は前年比1.7%増、価格は高値で推移

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24年1〜4月の鶏肉生産量は、前年比1.7%増
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年の1〜4月の鶏肉生産量は、処理羽数の増加(前年同期比1.3%増)から696万1000トン(同1.7%増)とわずかに増加した(表1)。また、24年4月の鶏肉生産量は、前年に比べて操業日数が2日多かったことで、前年同月比10.4%の増加となった。
 24年の鶏肉生産量についてUSDA/ERSは、米国内での堅調な需要、化場における肉用鶏卵の導入数の増加、飼料価格の低下などにより、2123万トン(前年比0.9%増)とわずかな増加を予測している。
 

 
24年の第1四半期の卸売価格、前年同期比2.8%高
 USDA/ERSによると、2024年の第1四半期(1〜3月)の平均鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.28米ドル(1キログラム当たり445円:1米ドル=157.74円(注)、前年同期比2.8%高)とわずかに前年同期を上回った。また、24年4月の鶏肉卸売価格は同1.32米ドル(同459円、前年同月比5.5%減)とやや下回ったが、引き続き高い水準で推移している(図1)。
 24年の卸売価格についてUSDA/ERSは、引き続き牛肉の供給ひっ迫により牛肉価格が高騰する中で、需要が鶏肉へシフトして堅調な需要が見込まれるとし、同平均1.27米ドル(同442円、前年比同2.1%高)と予測している。また、第2四半期は同1.32米ドル(同459円)となり、第3四半期および第4四半期は同1.24米ドル(同431円)に下落するとしている。
 鶏肉卸売価格が高い水準にある中で、4月末の鶏肉冷凍在庫量は32万4089トン(同9.8%減)とかなりの程度減少した(図2)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。




 
 
 24年の第1四半期の鶏肉輸出量、前年同期比8.5%減
 USDA/ERSによると、2024年の第1四半期の鶏肉輸出量は77万7453トン(前年同期比8.5%減)とかなりの程度減少した(表2)。米ドル高で推移する為替相場や、ブラジル産鶏肉の価格競争力が高いことが輸出量の減少要因とされている。
 輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは17万9323トン(同2.8%減)とわずかに減少し、台湾向けについても、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)発生後に台湾の鶏肉生産が回復したことにより5万9830トン(同10.3%減)とかなりの程度減少した。一方、キューバ向けは7万2985トン(同3.7%増)とやや増加し、アフリカ豚熱(ASF)の発生拡大で鶏肉需要が拡大しているフィリピン向けは3万5835トン(同29.6%増)、観光需要などが回復しているアラブ首長国連邦向けは2万9989トン(同63.2%増)とそれぞれ大幅に増加した。
 今後も世界的な鶏肉の需要量の増加から、各消費地域における輸入量の伸びが見込まれているが、USDAは、堅調な国内需要を背景に価格が高く、米ドル高で推移している為替相場により、ブラジルと比較して米国産鶏肉の価格競争力が低下しているとしている。このため、24年の鶏肉輸出量は312万5000トン(前年比5.2%減)と予測している。

 
(調査情報部 中島 勝紘)