24年4月の生乳生産量、2カ月連続で前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2024年4月の生乳生産量は146万3000トン(前年同月比4.1%減)とやや減少し、2カ月連続で前年同月を下回った(図1)。この結果、23/24年度(6月〜翌5月)4月までの累計でも、2021万5000トン(前年同期比0.5%減)とわずかに減少した。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、シーズン終盤にかけて酪農地帯を中心に乾燥した気候が続き、放牧に適した牧草の生育不良により、一部の生産者が2〜3週間早い乾乳を進めたことなどを挙げている。
24年4月の乳製品輸出量、主要4品目すべてが前年同月を下回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年4月の乳製品輸出量は、主要4品目すべてで前年同月を下回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳や全粉乳は最大の輸出先である中国向けが前年同月から4割弱減少したことから、それぞれ35.0%、15.8%減少した。また、バターおよびバターオイルは最大の輸出先の中国向けが増加したものの、主要輸出先の豪州やインドネシア向けが減少したことから16.9%減少した。チーズは最大の輸出先である中国向けをはじめ、豪州、日本、韓国向けがそれそれ減少したことで13.7%減少した。
24年5月下旬のGDT平均価格、主要3品目が前回開催を上回る
2024年5月21日開催のGDT(注1)平均取引価格は、チーズを除く主要3品目で前回開催時(同年5月7日)を上回った(図3)。この結果、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり3861米ドル(60万9034円:1米ドル=157. 74円(注2)、前回比4.1%高)とやや上昇した。このような中で、NZ乳業大手フォンテラ社は同年5月29日、23/24年度の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均7.8NZドル(764円:1NZドル=97.96円(注2))に維持することを発表した。また、同日には24/25年度の当初乳価を同8.0NZドル(784円)にすると発表した。これについて同社のハレル最高経営責任者は、「中国の乳製品需要が回復していないことや世界市場の不確実性などのリスクを考慮し、慎重に当初乳価を設定した」とコメントした(注4)。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳タンパク質。
(調査情報部 工藤 理帆)