24年第1四半期の生乳生産量は引き続き増加
中国国家統計局によると、2024年第1四半期(1〜3月)の生乳生産量は、前年同期比5.1%増の876万トンとなった(図1)。
24年の生乳等生産量(注1)について中国農業農村部は、4月に公表した「中国農業展望報告(2024−33)」(以下「展望報告」という)の中で、乳牛を100頭以上飼養する大規模農場の割合が増加し、飼養管理技術の向上と経営の安定化などがさらに進むことで、4405万トン(前年比2.6%増)と見込んでいる。一方で、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は5月、同年の中国の生乳等生産量について、高泌乳牛の増加や飼養管理技術の向上などから4350万トン(うち生乳は4250万トン、同1.3%増)とするレポートを公表している。
(注1)牛由来の生乳のほか、ヤクやヤギなど由来の乳を含む生産量。展望報告では、生乳のみの生産量見込みは示されていない。
24年5月の生乳価格は前年同月比12.5%安
中国農業農村部によると、2024年5月の生乳価格は1キログラム当たり3.39元(74.27円:1元=21.91円(注2)、前年同月比12.5%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図2)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
24年の生乳価格について展望報告では、従来は生乳生産量の増加による余剰生乳を粉乳に加工することで需給調整を図ってきたが、吸収余力がすでに限界を迎えて生乳の供給過剰となっていることから、前半は引き続き下落傾向で推移するとしている。その後、後半には上昇に転じるが、上昇余地は限定的とし、同3.50〜3.70元(76.69〜81.07円)の範囲で推移すると見込んでいる。
24年の乳製品輸入量、需給の緩和で引き続き低迷
2024年1〜4月期の乳製品主要8品目の輸入量は、8品目中2品目(全粉乳およびチーズ)で前年同期をわずかに上回ったが、その他の6品目はいずれも下回った(表)。輸入量の減少要因について中国農業農村部は、24年5月に公表した「農産物需給動向分析月報(2024年4月)」の中で、中国国内の乳製品需要が引き続き低迷していることを挙げている。
24年の乳製品輸入量について展望報告では、中国政府による乳製品の消費促進のための啓発活動などにより、1人当たりの乳製品消費量の増加が見込まれる一方、生乳生産量の増加による生乳の供給過剰は続くことから、引き続き減少(生乳換算で前年比1.0%減)することを見込んでいる。
(調査情報部 平山 宗幸)