米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年5月10日、2024/25年度最初の世界の大豆需給予測値を公表した(表)。
これによると、同年度の世界の大豆生産量は4億2226万トン(前年度比6.4%増)とかなりの増加が見込まれている。このうち、最大の生産国であるブラジルは1億6900万トン(同9.7%増)と、前年度に続き過去最大の生産量が見込まれている。また、これに次ぐ米国は作付面積や単収の増加見込から1億2111万トン(同6.9%増)、アルゼンチンは5100万トン(同2.0%増)とされた。さらに中国も、大豆の生産振興策を背景に前年度並みの2070万トン(同0.7%減)とされた。
輸入量は、世界全体で1億7640万トン(同3.6%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の輸入国である中国は、前年度をやや上回る1億900万トン(同3.8%増)とされた。
消費量(搾油仕向け)は、世界全体で3億4587万トン(同4.8%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の消費国である中国は、搾油向け需要の回復などから前年度をやや上回る1億300万トン(同4.0%増)とされた。
輸出量は、世界全体で1億8020万トン(同4.5%増)とやや増加が見込まれている。このうち、最大の輸出国であるブラジルは、生産量の増加を受けて1億500万トン(同2.9%増)、これに次ぐ米国も4967万トン(同7.3%増)とされた。
この結果、期末在庫は1億2850万トン(同15.0%増)とかなり大きな増加が見込まれている。
今回の予測では、ブラジルや米国、アルゼンチンの大豆生産が増加する中で、輸出量や消費量も増加とされたが、市場関係者の当初予想を上回る期末在庫であることから、USDAは米国の生産者販売価格を1ブッシェル当たり11.20米ドル(1767円、1キログラム当たり70円(注1):1米ドル=157.74円(注2)、前年度比10.8%安)と見込んでいる。
また、今回の予測は、天候条件が通常または好天と想定されているため、今後の気象状況の変化による生産量や輸出量への影響に注視が必要とみられる。
(注1)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)