24/25年度のトウモロコシ生産量、前年度に続き過去最高見込み
中国農業農村部は5月10日、最新の「中国の農産物需給状況分析」を公表した。このうち、2024/25年度(10月〜翌9月)最初のトウモロコシの需給見通しは次の通りである(表1)。
生産量は、作付面積および単収の増加により、過去最高となる2億9701万トン(前年度比2.8%増)と見込まれている。
輸入量は、1300万トン(同33.3%減)と大幅な減少が見込まれている。トウモロコシの収益性が高いことで生産量が増加する中、輸入量は減少傾向で推移しており、記録的な輸入となった20/21年度(2956万トン)から5割を超える減少となる。
消費量は、2億9964万トン(同1.6%増)とわずかな増加が見込まれており、引き続き消費の6割以上を占める飼料向けがけん引している。
この結果、同年度のトウモロコシの過不足は1036万トン(同22.3%減)のプラスが見込まれている。
また、同年度の国内のトウモロコシ生産地平均卸売価格については、1トン当たり2500〜2700元(5万4775円〜5万9157円:1元=21.91円(注))と、前年度の同2400〜2600元(5万2584円〜5万6966円)を上回る水準での推移が見込まれている。
24/25年度の大豆生産量、輸入量共にわずかな減少
2024/25年度最初の大豆の需給見通しは次の通りである(表2)。
生産量は、作付面積が減少も単収の増加により2054万トン(前年度比1.4%減)と見込まれている。
輸入量は、9460万トン(同1.6%減)とわずかな減少が見込まれている。中国政府による国産の大豆生産振興政策などから輸入量は減少傾向で推移しており、記録的な輸入となった20/21年度(9978万トン)から5%強の減少となる。
消費量は、1億1456万トン(同0.6%減)とわずかな減少が見込まれており、引き続き搾油向けが消費の8割強を占めている。
この結果、同年度の大豆の過不足は40万トン(同74.2%減)のプラスが見込まれている。
また、同年度の国内の大豆平均卸売価格については、1トン当たり5400〜5600元(11万8314円〜12万2696円)と、前年度に比べ同100元程度の下落であったが、引き続き高い水準での推移が見込まれている。
USDA予測を下回るトウモロコシと大豆の輸入量、今後の動向が注目
米国農務省(USDA)が5月10日に公表した、2024/25年度最初の世界の穀物需給予測値との比較では、同年度の中国のトウモロコシおよび大豆の輸入量はいずれもUSDAの予測値(トウモロコシ2300万トン、大豆1億900万トン)を下回っている。このため、国際相場に影響する今後の中国の輸入動向が注目されている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年5月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)