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海外需給【牛肉/豪州】畜産の情報 2024年8月号

24年6月の肉牛価格、一部の乾燥気候を背景に下落傾向で推移

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24年6月の肉牛価格、下落傾向で推移
 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2024年5月以降、緩やかな下落傾向が続いており、直近7月1日は1キログラム当たり581豪セント(633円:1豪ドル=109.00円(注1))となった(図1)。現地報道によると、ビクトリア州などで乾燥した気候が続き、牧草生育への影響が懸念されることから、牧草肥育農家のもと牛導入意欲が低下し、EYCI価格下落の一因になったとされている(図2)。一方、豪州気象局(BOM)は、24年後半にも豪州の大部分で多雨をもたらすラニーニャ現象発生の可能性を示唆しており、EYCI価格に影響する今後の気象動向が注目されている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
 





 
 
24年6月の週間成牛と畜頭数、引き続き高水準で推移
 2024年6月の週間成牛と畜頭数は引き続き高水準で推移しており、同月第3週時点では14万2390頭と、20年1月以来、4年半ぶりとなると畜頭数を記録した(図3)。旺盛な輸出需要などがと畜頭数の伸びを後押ししている。

 
24年5月の牛肉輸出、米国および日本向けが牽引けんいん
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2024年5月の牛肉輸出量は11万3923トン(前年同月比24.5%増)と大幅に増加し、19年12月以来の水準となった(表)。
 この輸出増を牽引しているのは、主に米国向けと日本向けである。同月の米国向けは、米国内の牛肉生産量減少を受け、3万1294トン(同74.3%増)と輸出量全体の27.5%を占めた。また、日本向けも2万5435トン(同31.3%増)と大幅に増加している。米国向けについては、主にハンバーガー用の冷凍の牧草肥育牛肉が輸出されている一方、日本向けについては、24年1〜3月期の穀物肥育牛肉の39%が仕向けられるなど、穀物肥育牛肉の主要輸出先となっている(注2)
一方、中国向けは、国内の景気後退などが影響し、1万5359トン(同21.5%減)と大幅に減少した。このような中で、中国政府は24年5月末、過去数年間にわたり豪州の食肉処理加工施設に課していた輸入停止措置を解除(7カ所中5カ所)した。現地報道によると、従前より中国は成長促進ホルモン(HGP)未接種の牛肉のみを輸入しているため、食肉大手のJBS社を始め、今回の解除対象となった食肉処理加工施設を所有する大手食肉企業各社は、解除を見越して年初ごろから非HGP牛肉対応プログラムを開始していたとされており、今後の中国向け牛肉輸出量回復の可能性も示唆されている。
 
(注2)海外情報「フィードロット飼養頭数、史上初めて130万頭を突破(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003823.html)をご参照ください。


 
 
(調査情報部 国際調査グループ)