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海外需給【豚肉/カナダ】畜産の情報 2024年8月号

1〜4月の豚肉輸出量は中国、米国向けを除き大幅増

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24年1〜5月の豚と畜頭数、前年同期比4.3%減
 カナダ農務・農産食料省(AAFC)によると、2024年5月の豚と畜頭数は160万頭(前年同月比5.7%減)とやや減少した(図1)。また、同年1〜5月の累計では857万頭(前年同期比4.3%減)とやや減少した。地域別ではカナダ東部(ケベック州など)が同5.7%減、西部地域(アルバータ州など)が同2.8%減となり、東部でのと畜頭数の減少が顕著となっている。特に東部の主要養豚地域であるケベック州では、大手食肉処理業者であるオリメル社が一部施設の操業を停止したことから、と畜能力が大幅に低下している。


 
 24年の豚肉生産量について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、と畜頭数が減少(前年比2.5%減)する一方で、上半期(1〜6月)にかけての平均枝肉重量の増加により、203万トン(同0.7%減)とわずかな減少にとどまると見込んでいる。
 
24年1〜4月の生体豚輸出頭数、前年同期比7.8%増
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2024年1〜4月の生体豚輸出頭数(米国向け)は、234万頭(前年同期比7.8%増)とかなりの程度増加した(図2)。現地報道によると、カナダ東部でのと畜能力の低下に加え、米国内の相場高や輸送費の低減による収益性の向上などが輸出増に作用したとされる。
 
24年1〜4月の豚肉輸出量、前年同期比15.9%増
 Statistics Canadaによると、2024年4月の豚肉輸出量は10万100トン(前年同月比23.1%増)と大幅に増加し、同年1〜4月の累計では38万7500トン(前年同期比15.9%増)とかなり大きく増加した(表)。国内生産量の減少が見込まれる一方で、競合するEU産豚肉の価格競争力の低下などが中国以外のアジア地域への輸出増に寄与している。
 同期間の豚肉輸出量を輸出先別に見ると、米国向けが9万4900トン(同3.4%減)とやや減少し、中国向けは国内生産の増加などにより3万5800トン(同43.4%減)と大幅に減少した。一方、日本向けは8万6700トン(同73.5%増)、韓国向けは3万600トン(同83.3%増)といずれも大幅に増加し、同期間としては過去最高水準となった。その他、メキシコ向けが4万8500トン(同34.7%増)、フィリピン向けが3万7000トン(同30.3%増)と大幅に増加した。
 一方、同期間(24年1〜4月)の豚肉輸入量は、主要輸入先である米国やEUからの輸入減により、4万6642トン(同14.0%減)とかなり大きく減少した。





 
 
(調査情報部 伊藤 瑞基)