24年第1四半期の豚肉生産量、前年同期比0.3%増
欧州委員会によると、2024年3月の豚肉生産量(EU27カ国)は、171万6070トン(前年同月比8.9%減)とかなりの程度減少した(図1)。同月の1頭当たり枝肉重量は95.70キログラム(同1.3%増)とわずかに増加したものの、と畜頭数が1793万頭(同10.0%減)とかなりの程度減少したことが影響した。24年第1四半期(1〜3月)の豚肉生産量は、542万4410トン(前年同期比0.3%増)と前年並みであった。
第1四半期の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、ドイツ(同1.0%増)やポーランド(同6.9%増)は増加したものの、スペイン(同0.5%減)やデンマーク(同5.9%減)では減少した(表1)。スペインは中国向け輸出の減退に加え、23年3月から同国政府が実施しているアニマルウェルフェア規制厳格化の影響により、と畜頭数が減少した。また、生産量に占める輸出量の割合が大きいデンマークは、価格競争力の低下を背景とした輸出需要の減少や食肉処理場の閉鎖などにより生産量が減少した。
24年5月の豚枝肉卸売価格、横ばいが続く
欧州委員会によると、2024年5月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比8.0%安の100キログラム当たり219.86ユーロ(3万8218円:1ユーロ=173.83円(注))となった(図2)。温暖な季節を迎えるにつれて、バーベキューなど屋外需要の増加が期待されるが、冷涼な気候が続いたことで、同価格は前月から横ばいとなった。週別の価格動向を見ると、24年6月も弱含みで推移しており、直近6月10日の週は前週から1.22ユーロ(212円)安の同220.04ユーロ(3万8250円)となった。欧州サッカー選手権の開催など、イベント需要が期待されたドイツでも、直近の価格は同じく弱含みで推移している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
24年1〜4月の豚肉輸出量、前年同期比12.2%減
欧州委員会によると、2024年1〜4月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、67万9623トン(前年同期比12.2%減)とかなり大きく減少した(表2)。域内生産量の減少により価格が高水準にあることで、EU産豚肉の価格競争力が低下している。輸出先別に見ると、23年9月にドイツ産豚肉の輸入を再開した韓国向けなどが上回ったが、最大の輸出先である中国向けなどは下回った。
(調査情報部 藤岡 洋太)