24年4月末の繁殖雌豚頭数は前年同月比7.0%減、最適な水準に近づく
中国農業農村部によると、2024年4月末時点の繁殖雌豚頭数は3986万頭(前年同月比7.0%減)と前年同月をかなりの程度下回った(図1)。同頭数は、同部が最適な水準としている3900万頭から約2%上回っているものの、23年3月以降は減少傾向にあり、徐々にこの水準に近づいている。
24年4月の豚と畜頭数、前年同月比10.5%減
2024年4月の豚と畜頭数は、2563万頭(前年同月比10.5%減)と前年同月をかなりの程度下回った(図2)。現地報道によると、繁殖母豚飼養頭数の減少に伴う肥育豚飼養頭数の落ち込みが、と畜頭数の減少につながったとされている。
24年5月の豚肉価格は前年同月比3.8%高
2024年5月の豚肉価格は、前月比0.2%高の1キログラム当たり25.2元(563円:1元=22.34円(注1)、前年同月比3.8%高)となった(図3)。現地報道によると、5月は生産者の二次肥育(注2)意欲が強まり出荷控えが生じたことに加え、主に呼吸器系などの家畜疾病により飼養頭数が減少したことなどから、価格の上昇につながったとみられている。
中国各地での今後の気温上昇に加え、7月初旬ごろから学校などが休みに入り豚肉の末端消費が弱くなるため、豚肉価格の低下が見込まれている。
一方、同月の子豚価格は、前月比5.4%高の同38.7元(865円、前年同月比5.9%高)となった。現地報道によると、通常、二次肥育を行う農家は、肥育豚を購入して再肥育を行うケースが多いが、肥育豚価格の上昇から、これら農家がより安価な子豚を購入して肥育する動きになったことで、結果的に同月の子豚価格の上昇につながったとされている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
(注2)出荷適正体重となった肥育豚を再肥育(購入する場合もあり)し、通常の出荷体重以上に増体させること。生体豚価格の上昇が見込まれる場合に実施されることが多く、ばくち的要素が強い。
24年1〜5月の豚肉輸入量は前年同期比47.8%減
2024年1〜5月の豚肉輸入量は42万398トン(前年同期比47.8%減)となり、スペインをはじめ、すべての主要輸入先で前年同期を大幅に下回った(表)。現地関係者によると、中国国内の肥育豚供給頭数がアフリカ豚熱(ASF)の発生前を上回り、供給の増加から豚肉価格が低水準で推移し、輸入豚肉の価格優位性が低くなったことが、豚肉輸入量の減少要因とされている。
(調査情報部 田中 美宇)